一日一曲(1678)フェルドマン、モートン:弦楽四重奏曲第2番

 本日は、生誕100年(1926年1月12日生)を迎えらえたアメリカの作曲家、モートン・フェルドマンさんの曲をご紹介します。
 
 フェルドマンさんは1926年1月12日にニューヨーク市で生まれました。ピアノと作曲を学びましたが、先生の作曲観に同意出来ないことが多かったそうで、議論を交わすことも珍しくなかったとのことです。1950年、作曲家ジョン・ケージと知り合り、大きな影響を受けました。じきに図形譜を世界で最初に発案、世界中に大きなインパクトを与えました。ジョン・ケージは賞賛し、逆に図形譜はケージに影響を与えました。前衛のメッカ、ダルムシュタットでも絶賛され、多くの現代億額作曲家に影響を与えました。記号を演奏者自らが解釈して、結果が読めない音楽を導く流行は、後に偶然性の音楽、不確定性の音楽を生み出す大きなきっかけになった。こうしてフェルドマンさんは世界的な認知を受けることになりましたが、フェルドマンさん自身は「結局は演奏家に好き勝手に楽譜を解釈され、自分の意図と違うものを聞かされる」事に耐えられず、70年代にはこの記譜法を放棄するに至りました。80年代以降、一つの楽章で所要時間が60分以上、なおかつ音楽全体がピアニシモのままという、非常に長大な作品を作曲し始め「「弦楽四重奏曲第2番」(1983年、単一楽章(休み無しの繰り返し付き)で5時間半)、ヴァイオリンと弦楽四重奏」(1985年、約2時間)、等の傑作を発表しました。1987年、年少の女流作曲家バーバラ・モンクと結婚しましたが、その直後にニューヨーク州バッファロー市の自宅で61歳で亡くなられました。

 本日の曲は長大な曲「弦楽四重奏曲第2番」です。本曲は演奏時間がかなり長い曲です。作曲者自身が楽譜上に記した所要時間は、約3時間30分〜5時間30分 となっています。また、これまでの録音や実演では、
 ・公式録音で、6時間7分、4時間52分
 ・ライブ公演例では、5時間45分
といった記録があります。およそ4時間50分〜6時間10分くらいの演奏時間ということが言えます。楽譜ではとてもゆったりしたテンポ(四分音符=63〜66)が指定されています。演奏者はそれをさらに内面化して、もっとテンポを落として演奏する場合もあり、その結果、同じ楽譜なのに時間が1時間以上変わることがありえる状況となっています。
 本曲には、分かりやすいメロディやドラマティックな盛り上がりはほとんどありません。音量は終始ひそやかで、ヴァイオリンやヴィオラ、チェロが、ささやくように音を置いていきます。同じような音型が何度も現れますが、よく聴くと毎回ほんの少しずつ違っているのが分かります。しかし、作曲者はその「変化」を誇示しません。変わったかどうか確信できない、その曖昧さこそが本曲の魅力となっています。
 本曲を聴くときのコツとしては、『「理解しよう」としないこと』と言えるかもしれません。背景音楽のように流しつつ、ふと耳に引っかかる瞬間を大切にすると、本曲がこちらに歩み寄ってきます。
 本曲は、音楽が時間を支配するのではなく、時間と共存する稀有な作品です。気づけば、時計よりも音のほうを信じている自分に出会うはずです。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
フェルドマン、モートン:弦楽四重奏曲第2番

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