一日一曲(1679)フェルドマン、バーバラ・モンク:ヴィブラフォンのための詩
本日は、昨日ご紹介した作曲家モートン・フェルドマンの妻、バーバラ・モンク・フェルドマンさんの曲をご紹介します。
バーバラ・モンク・フェルドマンさんは1953年1月18日、カナダ・ケベック州モントリオールで生まれました。現在もご存命で、作曲活動や作品の普及に関わっています(2026年1月時点)。モントリオール市のマギル大学で音楽を学び、ドイツ・フライブルクの音楽大学でさらに研鑽を積み、1984〜1987年にはアメリカのニューヨーク州立大学バッファロー校で作曲博士(Ph.D)の学位を得ました。バッファロー校ではモートン・フェルドマンに師事し、1987年6月6日にフェルドマンと結婚しました。同年9月3日にモートン・フェルドマンが亡くなったため、結婚生活は僅か3ヶ月にも満たない期間でした。フェルドマン亡き後、彼の資料保存への寄与や、作品を通じた記念的な演奏・研究活動に携わられています。1988年から1994年にかけて、ダルムシュタット夏季音楽学校、ベルリン芸術大学をはじめ、アメリカ、カナダの多くの大学で客員講師、コース助手を務められました。音楽と美術の関係に関する論文も発表しています。
本日の曲はヴィブラフォンの独奏曲、「ヴィブラフォンのための詩」です。バーバラ・モンク・フェルドマンさんの作風は、「音と静寂の間に深い対話を生」部分に特徴があります。本日の曲もそのような作風をよく示す代表的な小品のひとつです。叙情的な旋律を語るというより、短い音の断片が静かに連なり、空間に置かれていくような構造を持ちます。詩の行と行のあいだに余白があるように、音と音の間の沈黙そのものが重要な役割を担っています。この曲では、ヴィブラフォン特有の残響と減衰が作品の核になります。連打や技巧的パッセージはほとんどなく、単音や簡潔な和音が、慎重に配置されています。ペダルの使い方や音の消え際が細やかに意識され、聴き手は「次の音を待つ時間」そのものを聴くことになります。リズムは明確な拍節感を持たず、時間は均質に流れるというより、伸び縮みする感覚で進みます。これは、師であり夫でもあったモートン・フェルドマンの影響を感じさせつつも、より内省的で抑制された表情を持っています。演奏者には、正確さ以上に音への集中力と忍耐が求められます。聴衆にとっても、この作品は「展開を追う音楽」ではなく、響きの質や空間の変化に身を委ねる音楽と言えます。
なお、NMLでは演奏者欄にヴィブラフォンのほかシンバルも入っていますが、これは間違いでしょう。本曲が収録されているアルバム中の他の曲でシンバルが使われているようですが、それにひきずられて表記が残ってしまっているようです。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
フェルドマン、バーバラ・モンク:ヴィブラフォンのための詩
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