一日一曲(1701)ファッコ、ジャコモ :アドリア海の和声的着想作品1第1番
本日は、生誕350年(1676年2月4日生)を迎えらえたイタリアの作曲家兼ヴァイオリニスト、ジャコモ・ファッコさんの曲をご紹介します。
ジャコモ・ファッコ(Giacomo Facco)は、イタリア・バロック音楽の洗練をスペイン宮廷へ伝えた重要な架け橋の一人です。1676年2月4日に、イタリアのパドヴァ近郊、マルサングロ(現在のカンポ・サン・マルティーノ)で生まれました。若くしてヴァイオリンの才能を開花させ、ヴェネツィア周辺で活動を開始します。1705年、パレルモでシチリア総督、ロス・バルバセス侯爵カルロ・アントニオ・スピノラに聖歌隊指揮者、教師、ヴァイオリンの名手として雇われました。1708年、総督はメッシーナに居を移し、ファッコもそれに従いました。メッシーナでは『慈悲と不信の闘い』を作曲したほか、1710年には、メッシーナ大聖堂でフェリペ5世に献呈した『勝利の予兆』を上演しました。1720年頃にマドリードへ移住します。その後、後の国王フェルナンド6世のクラヴィコード奏者となり、1731年10月1日以降は後のスペイン国王カルロス3世のクラヴィコード奏者として活躍されました。その後、ファッコは陰謀を企む同僚たちの犠牲となり、徐々にすべての地位を失い、晩年には王室礼拝堂のオーケストラのヴァイオリニストに過ぎなくなりました。1753年2月16日、スペインの首都マドリードにて、77歳でその生涯を閉じました。死後長い間歴史の影に隠れていましたが、20世紀後半に代表作であるヴァイオリン協奏曲集『ペンシエーリ・アドリアーティチ(アドリア海の想い)』(1716年刊)が再発見されたことで、ヴィヴァルディにも比肩する独創的な作曲家として評価が急上昇しました。彼の音楽は、イタリア特有の歌心あふれる旋律と、マドリード宮廷で求められた気品ある優雅さを兼ね備えています。
本日の曲は「アドリア海の和声的着想作品1第1番」です。この作品は、ファッコが1716年に出版した全12曲からなる協奏曲集の記念すべき第1曲目です。原題の『Pensieri adriarmonici』はファッコの造語で、元の言葉は「アドリア海(Adriatico)」と「和声(Armonico)」。この2つの単語をミックスした造語です。彼がスペインへ渡る前に、故郷イタリアの海をイメージして書いた、瑞々しい感性にあふれた名曲です。
<聴きどころ>
まず、華やかな「対話」の楽しさを満喫してみましょう。独奏ヴァイオリンが主役となり、バックの合奏団(オーケストラ)と対話するように進みます。主役がひとしきり華やかな技を披露したあと、合奏団がそれを追いかけるように盛り上げる様子は、まるで活気ある演劇を見ているようです。
また、本作はクラシック初心者の方にも馴染み深い、ヴィヴァルディの『四季』のように、歯切れの良い躍動するリズムが特徴です。特に第1楽章の力強いリズムは、聴く人を一気にバロック音楽の世界へと引き込みます。
曲は「速い・遅い・速い」の3つの楽章で構成されており、ドラマチックな緩急を味わえます。特に真ん中の静かな楽章(第2楽章)では、ヴァイオリンが切なく美しいメロディを歌い上げ、聴き手の心を優しく落ち着かせてくれるでしょう。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ファッコ、ジャコモ :和声復興への考察Op. 1, No. 1
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