一日一曲(1703)ガラルディ、ヴィンス:ライナスとルーシー

 本日は、没後50年(1976年2月6日没)を迎えらえたアメリカの作曲家、ヴィンス・ガラルディさんの曲をご紹介します。

<ヴィンス・ガラルディ:ジャズを日常に変えた作曲家>
 ヴィンス・ガラルディ(Vince Guaraldi)は、1928年7月17日、カリフォルニア州サンフランシスコの音楽一家に生まれました。叔父たちがジャズ・ミュージシャンという環境で育った彼は、地元のサンフランシスコ州立大学を卒業後、朝鮮戦争への従軍を経て、プロのピアニストとしての道を歩み始めます。
 1950年代、彼は西海岸のクール・ジャズ・シーンで頭角を現しました。転機となったのは1962年、自作曲「キャスト・ユア・フェイト・トゥ・ザ・ウィンド(Cast Your Fate to the Wind)」が異例のヒットを記録し、グラミー賞を受賞したことです。この洗練されたメロディが、TVアニメ『ピーナッツ』のプロデューサーの目に留まり、彼の代名詞となる「スヌーピーの音楽」が誕生することになりました。
 1965年の『スヌーピーのメリークリスマス』を筆頭に、彼はジャズの即興性と子供らしい無邪気さを融合させた名曲を次々と発表します。代表曲「ライナス&ルーシー」は、今やアメリカ文化の一部として世界中で親しまれています。
 しかし、その輝かしいキャリアは突如として幕を閉じます。1976年2月6日、カリフォルニア州メンローパークのナイトクラブでのライブ出演中、セットの合間に休憩室で心臓発作に襲われ、47歳の若さで急逝しました。
 早すぎる死ではありましたが、彼が遺した音楽は今もなお、冬の街角や家族の団らんの中で、温かく響き続けています。

 本日の曲は「ライナス&ルーシー」です。
 本曲は、1965年に放送されたテレビ特番『スヌーピーのメリークリスマス(A Charlie Brown Christmas)』のために書き下ろされました。当時、子供向けのアニメに「歌詞のない本格的なジャズ」を起用するのは非常に珍しい試みでしたが、ガラルディの作る音楽は、シュルツが描く子供たちの「可愛らしさ」と「どこか大人びた哲学的な雰囲気」に完璧にマッチしました。曲名の通り、安心毛布を手放さないライナスと、気が強いルーシーの姉弟をイメージして作られていますが、今では「スヌーピーのテーマ」として世界中で親しまれています。

 本日は、トロンボーン・アンサンブルの演奏でどうぞ。ピアノのパーカッシブな打鍵感をトロンボーンの力強いアタックで、そして心地よいスウィング感をスライドが生み出す滑らかなニュアンスで表現することで、原曲とはまた違った温かみと迫力が生まれています。

<聴きどころ>
1)低音楽器による「鉄壁のリズム」
ピアノの左手が刻んでいた有名なベースラインを、バストロンボーンやテナーの低音域が担当します。トロンボーン特有の「ブンッ」という太い発音でこのリズムが奏でられると、ピアノよりもさらに力強く、安定した推進力を感じることができます。
2)鮮やかな「ハーモニーの厚み」
ジャズ特有の複雑で美しい和音(テンション・コード)を、複数人のトロンボーンが重なり合って奏でる瞬間が最大の聴きどころです。金管楽器が持つ倍音の豊かさが合わさることで、原曲の都会的な響きが、より豪華で色彩豊かなサウンドへと進化します。
3)スライドを活かした「歌心」
  中間の少し落ち着いたセクションでは、トロンボーンならではのスライド操作による自然なスラーやポルタメントが活きてきます。ピアノには出せない「音と音の間を繋ぐ表現」が、メロディにジャズらしい「こなれ感」と色気を与えます。
4)歯切れの良いアタックの応酬
メインテーマの軽快なフレーズを、各パートが掛け合い(アンサンブル)で繋いでいく様子は、まるで子供たちが追いかけっこをしているかのようです。トロンボーンの直線的な音がピシッと揃う快感は、この編成ならではの魅力です。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ガラルディ、ヴィンス:ライナスとルーシー

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