一日一曲(1705)ムロシツィク、カロル:広大で清らかな水辺にて
本日は、没後50年(1976年2月1日没)を迎えらえたポーランドの作曲家兼指揮者兼ヴァイオリニスト、カロル・ムロシツィクさんの曲をご紹介します。
【カロル・ムロシツィク:合唱音楽の振興と音楽教育に生涯を捧げた、ルブリン音楽界の精神的支柱】
カロル・ムロシツィクは、1905年2月10日にポーランドのチェンストホヴァで生まれました。ワルシャワ音楽院で作曲をカジミェシュ・シコルスキに師事し、ヴァイオリニストとしての研鑽も積んだ彼は、ポーランドの伝統と近代的な響きを融合させる道を歩み始めます。彼の足跡が最も深く刻まれたのはルブリンの地でした。戦後、音楽教育の再建に尽力し、ルブリン音楽学校の校長として後進の育成に心血を注ぎました。作曲家としては、ポーランドの民俗的な精神を宿した合唱曲において真価を発揮し、その端正で抒情豊かな作風は合唱大国ポーランドの重要なレパートリーとなりました。指揮者としても市民に音楽を届け続け、地域文化の向上に捧げたその生涯は、1976年2月1日、活動の拠点であったルブリンにて幕を閉じました。文化芸術大臣賞を受賞した彼の遺産は、今なおポーランド音楽界の貴重な財産です。
【本日のご紹介曲:広大で清らかな水辺にて】
本曲は、アダム・ミツキェヴィチの深遠な詩の世界に、近代的な和声と静謐な祈りを吹き込んだ歌曲の名作です。テキストは、ミツキェヴィチが晩年に書いた「ローザンヌ詩篇」から採られています。水面に映る岩、黒い雲、そして雷鳴といった自然の移ろいと、それらをただ見つめ、流れ続ける「水」の対比を描いた、哲学的で瞑想的な内容です。1955年、作曲者50歳の時に創られた本作には、彼の旋律感覚が存分に発揮されています。
【聴きどころ】
1)「水」の孤独な描写
ピアノ伴奏が、鏡のような水面のきらめきをアルペジオで表現します。独唱ひとりの声がそこに乗ることで、広大な自然の前に立つ「個人の孤独」がより強調されます。
2)旋律の自由な揺らぎ
歌手が詩のニュアンスに合わせてルバートをかけ、情感たっぷりに歌い上げます。特に「雷鳴」や「雲」の描写から、再び「水は流れ続ける」という諦念に戻る際の感情の機微は、本作最大の聴きどころです。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ムロシツィク、カロル:広大で清らかな水辺にて
ムロシツィク、カロル:広大で清らかな水辺にて()
|
|
