一日一曲(354)クセナキス:オメガ
本日は、今日生誕100年(1922年5月29日生)を迎えられたルーマニア生まれのギリシャ系フランス人の作曲家、ヤニス・クセナキスさんの作品をご紹介します。クセナキスさんは建築家としても名を遺されています。
「オメガ」は1997年に作曲された、クセナキスさん最後の作品です。クセナキスさんは晩年アルツハイマー病に罹り、だんだんと作曲が難しくなってきて、最後に「オメガ」を発表して作曲活動を停止されたそうです。
クセナキスさんは現代音楽を代表する作曲家で、数学の理論に基づいた確率論的な手法で作曲したり、図形楽譜を多用したり、と革新的なことをされた方です。作品も素人耳には難しいものが多いです。そんなクセナキスさんの作品ですが、最後の曲「オメガ」は3分程度の短い曲ですし、割合聴きやすいのではないかと思います。
若いころはレジスタンス運動に加わり、顔の左側に銃撃を受け左目を負傷しました。音楽活動ではその革新性から様々な人とドンパチしていたようですし、晩年は難病との闘い。一生戦い続けた人生だったようです。最後の曲「オメガ」からもそんな厳しさが伝わってくるようです。打楽器の響きが消えて残った沈黙の中、クセナキスさんには安らぎが訪れたのかと想像しています。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
クセナキス:オメガ