一日一曲(396)ススリン:「旅立ち」によるカプリッチョ
本日は、没後10年(2012年7月10日没)を迎えらえたロシアの作曲家、ヴィクトル・ススリンさんの曲をご紹介します。
生涯の中で楽譜出版社に長年勤務されていらっしゃったようです。モスクワ音楽院等でも教鞭をとられていたようですが、そこからの稼ぎだけでは足りなかったのかもしれません。
当時のソ連の中では革新的なグループに位置していまして、それに関連して1979年にソ連作曲家同盟第6回会議において「フレンニコフの7名」のうちの一人として糾弾されてしまいました。この7名の作曲家の音楽は、「革新的な音楽というよりもむしろ、的外れ、騒音、汚泥」とののしられたようです。ススリンさんは2年後に西ドイツに移住(亡命?)を余儀なくされたようです。
本日の曲、「旅立ち」によるカプリッチョは糾弾された年に作曲された曲です。会議の前か後かは調べ切れませんでしたが、恐らく前で、本曲を含めた数作品がいわゆる西側で公開されたことも原因のひとつになってしまったのでしょう。
ヴァイオリン2台で奏でられる分散和音のモチーフを基調にして、時にひそやかに、時に激しく音楽が奏でられます。メロディよりもその時その時の音の響きに注目して聴く音楽という感じがします。
「旅立ち」とは、タイトルをつけた時には意識していなかったのでしょうが、一連の騒動を暗示しているような感じですね。曲想も何やらよろしくないことが起こりそうな、そんな不安げな雰囲気を感じます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ススリン:「旅立ち」によるカプリッチョ