一日一曲(555)アイメルト、ヘルベルト:久保山愛吉の墓碑銘
本日は、没後50年(1972年12月15日生)を迎えらえたドイツの作曲家、ヘルベルト・アイメルトさんの曲をご紹介します。昨日のヤコビさんとは同じ国で亡くなった日も同じということになります。
アイメルトさんは1897年、ドイツ南部の都市、バート・クロイツナッハに生まれました。1919年から1924年までケルン音楽大学で音楽理論と作曲を学びます。まだ学生だった1924年、アイメルトさんは「無調音楽理論テキスト」を出版と学期末の試験コンサートのために作曲された12音の弦楽四重奏曲が、教授との口論のタネとなりました。教授はその弦楽四重奏曲をプログラムから撤退させるとともに、アイメルトさんを作曲クラスから追放してしまいました。愛メルトさんはその後別の大学で音楽額の博士号を取得されています。卒業後は音楽評論家やラジオ局勤務などをされていましたが、1951年に西部ドイツ放送協会の電子音楽スタジオを設立し、電子音楽での作曲を始めます。現在ではアイメルトさんは「電子音楽の祖」としての評価が確立されています。現代音楽の巨匠であるシュトックハウゼンさん、カーゲルさんらに多大な影響を与えています。
本日の曲、『久保山愛吉の墓碑銘』は「第五福竜丸被爆事件」で有名な、同船の機関長である久保山愛吉さんの追悼として作曲されました。最初に久保山愛吉の死を悼む内容の詩が読まれ、その後、その肉声の音声を、テープ、アンプ、スピーカー、フィルターなどを通して電気的に変化させたものが流されます。語り手が発した言葉(=音)のみを素材として用いており、その他の外部音の録音素材などは一切使われていないそうです。悲惨な事件を鮮烈に表現した作品と言えるでしょう。あんまり愛聴するような曲ではないように思いますが、たまにはこういった毛色の変わった曲も面白いかと思います。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
アイメルト、ヘルベルト:久保山愛吉の墓碑銘