一日一曲(709)フォック、ダーク:ジャワのスケッチ

 本日は、没後50年(1923年5月24日没)を迎えらえたオランダ生まれのアメリカの作曲家兼指揮者、ダーク・フォックさんの曲をご紹介します。

 フォックさんは1886年にオランダ領東インドでオランダ人の両親のもとに生まれ、人生の最初の12年間を現在のジャカルタであるバタビアの街で過ごました。1898年に家族と共にオランダに戻り、そこからフォッシュさんは音楽の勉強を開始します。が、著名な政治家であった父親はそれを許さず、仕方なくフォックさんは当初は工科大学に入学します。しかし、音楽への情熱を押しとどめることはできず、フォックさんは1907年にベルリンにわたり、独学で音楽の勉強を開始します。努力が実り、1911年には指揮者としてデビューし、そこから人気指揮者として大活躍されました。ラヴェル、ストラヴィンスキー、イベールといった著名作曲家とも親交を結び、それらの作曲家の作品も好んでコンサートで取り上げました。1939年、第二次世界大戦の影響でアメリカにわたり、そこで約20年過ごすことになります。その間、1945年にはアメリカ市民権を獲得しています。指揮活動は1930年代半ばころには引退し、作曲に専念していましたが、1948年に発表した作品46のピアノ独奏曲「ジャワのスケッチ」を最後に、作曲に関しても筆を折ることになりました。1959年には妻と共にヨーロッパに戻り、スイスのオルセリーナ村に定住、哲学、比較宗教、日本庭園の研究に没頭し、1973年5月24日、87 歳で死去されました。

 本日の曲は、フォックさんの最後の曲となったピアノ独奏曲「ジャワのスケッチ」です。1945年に最初に公開された時には7つの曲で構成されていましたが、3年後の1948年にその中から4つを選び「Java Sketches」作品46として正式に公開されました。本曲には、幼少期に過ごしたジャカルタの音楽的印象が明瞭に表現されています。最後の曲が幼少期の頃の「思い出」を題材にしたというところに、なにかフォックさんの思うところがあったのかな、と想像しています。
 「Sawahs の夕べ」「黄金のサロン」「Clustering Orchids in Dark Foliage(濃い葉に群生するラン)」「ボロブドゥール、千仏寺院」の4曲から構成された約22分の作品です。個人的には、最終曲が印象に残っています。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
フォック、ダーク:ジャワのスケッチ

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