一日一曲(712)デュティユー、アンリ:ピアノソナタ

 本日は、没後10年(1923年5月22日没)を迎えらえたフランスの作曲家、アンリ・デュティユーさんの曲をご紹介します。

 デュティユーさんは1916年にフランス西部のアンジェに生まれました。父方の曽祖父は画家のコンスタン・デュティユー(ドラクロワの親友)、母方の祖父は作曲家でジュリアン・コズル(ストラスブール音楽院の教授を務め、ガブリエル・フォーレと親交あり)という、芸術家の血筋の家系に生まれました。両親もアマチュアの音楽愛好家であったこともあり、幼い頃から音楽の英才教育を受け、1933年から1938年まではパリ音楽院で学んでいます。在学中の1938年に3度目の挑戦でローマ賞を受賞、ローマ留学となったのですが、国際情勢の緊迫化のため留学は4か月で打ち切られ、フランスで1年間兵役を経験しました。1940年8月に除隊し、本格的な活動に入ります。数々の賞を受け、世界的な演奏家たちから次々と曲を委嘱され、作曲コンクール等の審査員に呼ばれ、という形で八面六臂の活躍となりました。1997年には、死去する直前の武満徹から依頼を受け、新設された「ネクスト・ミレニアム作曲賞」(現武満徹作曲賞)の第1回審査員として招かれています。2013年に97歳の長寿を全うしました。現代フランスをを代表する作曲家の一人です。

 本日の曲、「ピアノソナタ」は結果的にデュティユーさんのピアノ作品の中で最も規模が大きく、演奏頻度の多い作品となりました。現在では20世紀ピアノ作品の重要なレパートリーとして位置づけられているほか、音楽大学の試験やコンクールといった教育の場においても頻繁にとりあげられる曲の一つとなっています。
 本曲は、1942年に出会い、1946年に結婚したピアニスト、ジュヌヴィエーヴ・ジョワさんに捧げられており、1948年4月30日の初演も奥様が行いました。
 デュティユーさんは、本曲以前に作曲した曲をほとんど破棄し、本曲を「作品1」と位置付けています。この作品をもってご自身の様式が確立されたと考えていらしたそうです。
 3楽章形式、演奏時間は約25分。個人的には第3楽章が面白く聴けました。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
デュティユー、アンリ:ピアノソナタ

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