一日一曲(789)マリシェフスキ、ヴィトルド:シューベルトを讃えるスケルツォと序曲
本日は、生誕150年(1873年7月20日生)を迎えらえたポーランドの作曲家、ヴィトルドト・マリシェフスキさんの曲をご紹介します。
マリシェフスキさんは、当時はロシア帝国だったウクライナの西部のモヒリーウ・ポジーリシキーで生まれ、サンクトペテルブルク音楽院にてロシアの大作曲家リムスキー=コルサコフに師事しました。卒業後は作曲家として活躍する傍ら、音楽教育方面にも力を入れ、1913年にオデッサ音楽院を創設して初代院長に就任、後に「20世紀の巨匠」となるオイストラフ(ヴァイオリン)やギレリス(ピアノ)といった生徒を指導しました。
ロシア革命成立後は、ボリシェヴィキの執拗な迫害を逃れて1921年にポーランドに出国し、ショパン音楽学校で教鞭を執ったほか、ワルシャワ音楽協会の総裁も務めました。1927年には第1回ショパン国際コンクールの委員長を、1931年から1934年までポーランド教育省の音楽局長を担当しました。1931年から没年まではワルシャワ音楽院の教授に迎えられました。1939年、祖国ポーランドの滅亡を目前にして62歳の誕生日の二日前に亡くなられました。
本日の曲はオーケストラ作品です。本曲は1927年に『シューベルトの未完成交響曲を完成させるコンクール』が企画され、そのコンクールへの応募作品として作られました。コンクールは結局、未完成交響曲を完成させるという縛りが外れてしまったようですが、マリシェフスキさんは当初の縛り通りに作られたようです。そして、本作品はそのコンクールで第2位に輝きました。
スケルツォと序曲には別々の字幕がつけられているそうです。第3楽章に当たるスケルツォは「シューベルトを讃える序曲」、第4楽章にあたる序曲は「シューベルトの思い出の序曲」とのことです。
序曲の冒頭では、シューベルトの「未完成交響曲」のテーマが再現されています。
本曲とシューベルトをカップリングしたアルバムなど、販売されていてもよさそうに思いました。ただ、あまりにもシューベルトの曲が有名でコアなファンが多いので、マリシェフスキさんの作品が「ゲテモノ」呼ばわりされてしまう恐れがありそうですね。ぴったりマッチングするかどうかはいろいろと見解が分かれるところでしょうが、、マリシェフスキさんの本作品もよい曲だと思います。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
マリシェフスキ、ヴィトルド:シューベルトを讃えるスケルツォと序曲