一日一曲(973)ラッハ、ロベルト:ヴィオラ・ダモーレ・ソナタ第2番 ト長調
本日は、生誕150年(1874年1月29日生)を迎えらえたオーストリアの作曲家、ロベルト・ラッハさんの曲をご紹介します。
ラッハさんはウィーンにうまれ、当初は法律を学びますが、方向転換しまして1894年にオーストリアの公務員になりました。公務員になる少し前からウィーン音楽友の会音楽院で作曲や音楽額を学ぶようになります。その他、1902年には哲学で博士号を取得しています。最終的には音楽の道を選択、1920年にはウィーン大学で音楽学の教授として活躍されました。音楽学が中心だったようですが、作曲や作詞、詩作などでも作品を遺されていらっしゃいます。反ユダヤ主義という政治的な姿勢も影響しているのでしょうか、あまり今日では作品の演奏機会も少ないのではないかと思います。
本日の曲は「ヴィオラ・ダモーレ」という楽器のために作られたソナタです。「ヴィオラ・ダモーレ」は、17世紀の終わりから18世紀の前半によく演奏された、6ないし7弦の演奏弦と同数の共鳴弦を持つ擦弦楽器です。ヴィオラ・ダ・ガンバの親類のような楽器です。ヴィオラ・ダ・ガンバと違って、ヴィオラ・ダモーレはヴァイオリンと同じように肩に楽器を乗せて演奏します。ヴァイオリンよりも少し大きめの楽器のようで、ヴィオラ奏者が演奏することが多いとのことです。
ラッハさんはこの楽器のためのソナタを3曲作れらています。その中でも1916年、作曲者42歳の脂の乗り切った時期に書かれた第2番が、規模も一番大きく、このジャンルの作品を代表する曲と言ってもよいと思います。4楽章形式で書かれていますが、第1楽章と第2楽章が曲全体の演奏時間の約8割を占めています。第2楽章は演奏時間21分を超えていて、この楽章だけで曲の約半分です。
ヴィオラ・ダモーレは美しい音が特徴的ですが、本曲はそれの特徴を十二分に生かしています。第2楽章の、ゆったりと流れる時間の中、ヴィオラ・ダモーレによって奏でられる音に聴き入っていると、いつのまにか20分が過ぎ去っています。超絶技巧で唸らせるのとは対照的な、心に沁みていくメロディの心地よさをご堪能下さい。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ラッハ、ロベルト:ヴィオラ・ダモーレ・ソナタ第2番 ト長調