一日一曲(1024)スタンフォード、チャールズ・ヴィリアーズ:全長短調の前奏曲集Op.179
本日は、没後100年(1924年3月29日没)を迎えらえたイギリスの作曲家、チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードさんの曲をご紹介します。
スタンフォードさんは1852年にアイルランドのダブリンで音楽的教養の高い一家に生まれました。父親は弁護士、母親はアマチュアのピアニストだったそうです。両親は早くからスタンフォードさんの音楽的才能に気がつき、ヴァイオリンやピアノなど、家庭教師をつけて教育されました。その成果もあり、9歳でリサイタルを行うまでになりました。それでも父親はスタンフォード産が弁護士になるのを希望しましたが、スタンフォードさんは音楽の道に進むこととなりました。
1800年代はスタンフォード産にとって黄金の時代であったようで、イギリス作曲界では指導的立場を確立し、数多くの作品を書き上げました。ただ、1900年代にはいると、スタンフォード産の音楽は新進気鋭の若手作曲家たちに押されていき、「時代遅れ」となってしまいました。以降、今日ではスタンフォード産の作品の多くは演奏される機会がごくわずかとなってしまっています。
本日の曲は、「全長短調の前奏曲集Op.179」です。いわゆる「(24ある調性をすべて1回ずつ使って作曲した)24の前奏曲」ということになります。数多の作曲家がこのジャンルで作品を遺していますが、スタンフォードさんはこの曲集を生涯で二つ作曲しました。しかも、最初の作品「全長短調の前奏曲集Op.163」は作曲者66歳の時の作品で、本日の曲はそのわずか2年後、68歳の時の作品と、双子のような関係にあります。作品163を作曲して、あまり納得がいかなかったから、もう1回作ったということなのかもしれませんが、真相は良く分かりません。それぞれの曲はさほど超絶技巧は必要としなさそうな、「素朴」な曲が多い感じです。多くの人に受け入れられやすいともいえるし、逆に「平凡」の側に近づきすぎてしまっているともいえるかもしれません。個人的には、本曲集では最初のハ長調の前奏曲が印象に残りました。あと、第10番は、アニメ映画「風の谷のナウシカ」の中で似たようなメロディが出てきたような気もしましたが、いかがでしょうか?
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
スタンフォード、チャールズ・ヴィリアーズ:全長短調の前奏曲集Op. 179