一日一曲(1121)ラダーマン、エズラ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ
本日は、生誕100年(1924年6月29日生)を迎えらえたアメリカの作曲家、エズラ・ラダーマンさんの曲をご紹介します。
ラダーマンさんはブルックリンで生まれました。両親はポーランドから米国に移住したユダヤ人で、家庭は裕福ではなかったそうですが、家にはピアノがあり、4歳の時にはピアノで即興演奏をするなど、才能の片りんを現し始めました。7歳の時から作曲を始め、ニューヨーク市の音楽芸術高校に進学、研鑽を重ねました。1943年にアメリカ陸軍に入隊し、第二次世界大戦中は無線通信士として勤務しました。お兄様はドイツで撃墜され、命を落とされたそうです。
ラダーマンさんもヨーロッパ戦線で従軍し、実戦を経験されています。戦争が終わってから数週間後に完成した、4楽章のオーケストラ作品「ライプツィヒ交響曲」が軍内で認められ、GI交響楽団の管弦楽団長に任命されました。1946年に除隊し、ブルックリン・カレッジに入学し、作曲の学びを再開しました。1950年に学士号を取得した後はコロンビア大学にうつり、1952年に修士号を取得しています。1971年から1982年まで、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校作曲科教授、シニア・コンポーザー・イン・レジデンスを務めた。1979年に芸術のための全米基金で音楽プログラムのディレクターに就任しています。1991年に芸術と文学のアメリカアカデミーの会員に選出されています。また、1989年にイェール大学音楽学校の学部長に任命され、1995年までその地位を務めました。イェール大学では2014年6月まで教えていました。2015年に90歳で亡くなられました。
数十の室内楽作品、8つの番号付き交響曲を含む51以上の管弦楽曲、30以上の協奏曲、6つの劇的オラトリオ、7つのオペラ、舞踏音楽、そして多数の声楽、ミュージカル、テレビ、映画のための作品など、300以上の作品を遺されています。
本日の曲は「ヴァイオリンのためのパルティータ」です。無伴奏ヴァイオリンの曲です。 8つの楽章から構成された、約20分の曲です。ラダーマンさんは「私が心から愛する楽器」と語られていらっしゃいます。本曲については、「それぞれの楽章は共通の音程関係によって結び付けられています」と語られていらっしゃいます。無伴奏ヴァイオリンパルティータというと、「シャコンヌ」を含むJ.S.バッハの曲をまず思いうかげる方が多いと思いますが、本曲もバッハの最高傑作のひとつに数えられるその曲を意識されているのではないかと思います。愛する楽器に渾身の想いを託した一曲と言えるでしょう。ラダーマンさんの代表作と言っても過言ではないかもしれません。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ラダーマン、エズラ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ
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