一日一曲(1337)ジャエル、マリー・トラウトマン:ピアノ協奏曲第1番ニ短調

 本日は、没後100年(1925年2月4日没)を迎えらえたフランスの作曲家兼ピアニスト、マリー・トラウトマン・ジャエルさんの曲をご紹介します。

 ジャエルさんは1846年にアルザスのシュタインゼルツ市で生まれました。お父様は市長でした。芸術愛好家の母の影響で6歳からピアノの勉強を始め、いくばくもなくドイツとスイスでコンサートを行うまでになりました。1856年、10歳になったジャエルさんは、パリ音楽院に入学、入学からわずか4ヶ月後には早くもピアノの一等賞を受賞しています。1866年に、20歳でにして15歳年上のオーストリアのコンサートピアニスト、アルフレート・ヤールと結婚しました。夫婦でヨーロッパやロシアに演奏旅行を行い、各地で称賛されています。1868年には、大作曲家で伝説のピアニストであるフランツ・リストと出会い、リストは小3のメッセージを残しています。更にリストはジャエルさんをヨハネス・ブラームスやアントン・ルービンシュタインなど、当時の他の偉大な作曲家や演奏家に紹介、ジャエルさんの活動の幅はさらに広がりました。作曲活動も旺盛に行い、1871年までには作品が出版され始めるようになりました。1882年に夫が亡くなりましたが、パリでカミーユ・サン=サーンスとセザール・フランクらとの知遇を得るなど継続して活動を続けられました。その後、腱鞘炎に苦しむようになり、それがきっかけとなりジャエルさんは神経科学や生理学、心理学の研究を始めるようになりました。美しい音楽を創造するという感情的および精神的な行為と、触覚、付加的、視覚的感覚の生理学的側面を組み合わせたかったことがそれらの研究の同期でしたが、この研究は「ジャエル・メソッド」の確立に結び付きました。このメソッドの目標は、生徒たちがピアノとの深いつながりを感じることでした。ジャエルさんのピアノ技術に関する著作は11冊におよび、それらはジャエルさんの研究と経験から生まれたものでした。「ジャエル・メソッド」は今日でも使用されています。ジャエルさんは1925年に78歳でパリで亡くなられました。

 本日の曲は「ピアノ協奏曲第1番ニ短調」です。1877年、ジャエルさん31歳の時の作品です。本作品は作曲家サン=サーンスに献呈されました。なお、ジャエルさんはサン=サーンスからピアノ協奏曲第1番ニ長調を献呈されています。その返礼として本作が献呈されたという経緯があるのかもしれません。曲は伝統的な3楽章形式で演奏時間は30分を超える大作です。勇壮な部分と優美な部分との対照が優れたています。個人的には優美な部分、例えば第1楽章では4分30秒あたりから、第2楽章は全体的ですが特に3分17秒あたりからなどが印象に残っています。良い曲だと思いますが、時代の流れの中で埋もれていってしまったのはどのあたりが原因だったのでしょうね。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ジャエル、マリー・トラウトマン:ピアノ協奏曲第1番ニ短調

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