一日一曲(1557)ドブリエール、ジャック:ピアノ協奏曲
本日は、生誕100年(1925年生)を迎えらえたフランスの作曲家、ジャック・ドブリエールさんの曲をご紹介します。
ドブリエールさんはフランスの首都パリで生まれました(なお、詳しい生没年月日は確認できる資料を見つけることができませんでした)。幼少期からピアノに親しみ、即興演奏を楽しんでいました。1943年にパリ音楽院に入学し、作曲を学びました。第二次世界大戦中にはド・ラトル将軍の下で軍務に就きました。従軍中に手を負傷してしまい、ピアニストとしての道を断念、一時は商業の世界に身を投じましたが、最終的には作曲活動に復帰しました。ラヴェルやサティ、フォーレ、デュティユーといった、フランスの先輩作曲家達からの影響を受けつつも、調性を重視した独自の美学を持ち、モダンでありながらも親しみやすい作品を多く残しました。フランス音楽の伝統を継承しつつ、現代に通じる感性を持つものとして評価されています。2021年にパリで逝去されました。
本日の曲は「ピアノ協奏曲」です。作曲者の敬愛するフランスの先輩作曲科、ラヴェルのト長調のピアノ協奏曲よりいろいろと引用がなされています(第1楽章の4分15秒あたり、5分35秒あたりなど)。それでいて、ドブリエールさんの個性が強く輝いています。本曲を聴いていると、ラヴェルの残した言葉が思い浮かびます。
『手本を選びなさい。まずそれをまねなさい。もしあなたに言いたいことが何もないのなら、できることはただ写すことだけだ。だが、もし何か言いたいことがあるのなら、あなたの個性は—無意識のかたちでの『不忠実さ』として、つまり模倣の中に現れるわずかなずれとして—最もよく現れるだろう。』
今年(2025年)はラヴェルの生誕150年です。ラヴェルのピアノ協奏曲と本曲とを続けて聴き比べても面白いでしょう。そういった企画の演奏会があると嬉しいのですが…。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ドブリエール、ジャック:ピアノ協奏曲