一日一曲(1616)バクサ、アンドレアス:ピッコロ協奏曲
本日は、没後10年(2015年没)を迎えらえたルーマニアの作曲家兼ヴァイオリニスト、アンドレアス・バクサさんの曲をご紹介します。
バクサさんは、1950年9月23日、ルーマニアのブラショフで生まれました。若くしてヴァイオリンと作曲を学びました。1975年にオーストリアへ移住し、東欧出身の作曲家として西側の音楽シーンにも活動の場を広げました。作曲家として彼は、風変わりな編成を用いた作品にも意欲的で、たとえば木管楽器群やピッコロ、ハープを含む協奏曲形式の作品を残しています。特に「グランデ・コンチェルト・ピッコロ Op.54」(2012年)は、ピッコロという楽器を協奏楽器としてメインに据えた注目作の一つです。音楽的には、ルーマニア・ハンガリー国境近くの文化的背景を引きつつ、オーストリアでの生活経験を通じて中欧の伝統と西洋の現代音楽が交差する作風を発展させた人物と言えるでしょう。ヴァイオリン協奏曲や木管・金管アンサンブルのための作品、さらには声楽・合唱を伴う大規模作品も含まれ、多彩なジャンルを手がけています。2015年に亡くなられたのですが、詳しい没年月日は情報はありませんでした。
本日の曲は、上の文章中に出てきた、ピッコロ協奏曲(グランデ・コンチェルト・ピッコロ)です。今回の演奏は、2015年に作曲者が亡くなられる前に、独奏者がピアノ伴奏版で録音されていて、その録音には作曲者も関係されていたとのことです。作曲者の死から7年後に、ようやくオーケストラとの完全版で録音を残すことができました。ライナーノートには独奏者のバクサさんへの追悼の念をひしひしと感じる文章が掲載されています。
ピッコロが独奏楽器である協奏曲は珍しい部類に入りますが、本曲は希少性に加えて人気曲になる可能性も十分に秘めている名曲と言えるのではないでしょうか。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
バクサ、アンドレアス:ピッコロ協奏曲
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