一日一曲(1638)イートン、ジョン:微分音幻想曲

 本日は、没後10年(2015年12月2日没)を迎えらえたアメリカの作曲家、ジョン・イートンさんの曲をご紹介します。

 イートンさんは1935年3月30日にペンシルベニア州ブリンマーで生まれました。プリンストン大学に通い、1957年に卒業しました。その後ローマに住み(1957-68)活動されましたが、1970年に博士号を取得するためにプリンストンに戻りました。インディアナ大学音楽学部(1970-92)とシカゴ大学(1989-99)で教員を務め、後進の指導にあたられました。作曲の分野では、微分音音楽の分野で著名な作曲家となりました。1960年代には作曲家仲間と協力して数種類のシンセサイザーを開発しました。ただ、それらの商業化はうまくいかなかったようです。また、少数のボーカリストと室内楽グループの編成で演奏される「ポケットオペラ」と呼ばれる作曲ジャンルを考案し、作品を創りました。シカゴ大学在職中には、歌手と一緒に楽器奏者が劇的に参加する室内オペラなど、小規模なアンサンブルの作品を数多く発表しました。このジャンルの作品の演奏に専念するプロの劇団である「ポケットオペラプレイヤーズ」を設立し、監督しました。2001年にシカゴ大学を引退した後も、ニューヨーク市のポケット・オペラ・プレイヤーズを率い続けられました。2015年12月2日に脳出血のため80歳で亡くなられました。ローマ賞、グッゲンハイム・フェローシップ、マッカーサー・フェローシップなど、数々の賞を受賞されていらっしゃいます。

 本日の曲は2台のピアノのための作品、「微分音幻想曲」です。本曲では演奏者は直角に配置され2台のピアノの前に座ります(通常の2台ピアノのための作品の演奏では、ピアノは対面に配置されます)。ピアノは(微分音の曲なので当然なのですが)4分の1音の微分音で調律されています。通常の調律に慣れた方からすると、まず「ピアノの音が狂っているのではないか?」と思われるでしょうし、暫く聴き進んでいくと「気持ち悪い」と、聴くのに苦痛を訴えるようになるかもしれません。普通の聴衆でそうなのですから、演奏者はさらに厳しい状況なのかもしれません。個人的には、「こういう珍しい曲もある」ということで知識として押さえておきますが、普段愛聴する曲にはならないかな、と感じています。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
イートン、ジョン:微分音幻想曲

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