一日一曲(1661)ミーチェム、カーク:この世界は私たちに重すぎる

 本日は、生誕100年(1925年9月19日生)を迎えらえたアメリカの作曲家、カーク・ミーチェムさんの曲をご紹介します。

 ミーチェムさんは1925年8月16日にカンザス州ウィチタで生まれました。第二次世界大戦中には2年半の軍務を経験、その後スタンフォード大学に入学しました。卒業後はハーバード大学の大学院に進学し、1953年に修士号を取得しました。声楽作曲部門でブート賞を受賞しています。その後スタンフォード大学で3年間アシスタント合唱指揮者を務めました。1956年から1957年、そして1961年から1963年にかけてオーストリアのウィーンに住み、活躍されましたが、1963年に妻子と共にサンフランシスコに戻りました。サンフランシスコ大学の作曲家インレジデンスとなり、他の大学でも客員作曲家や指揮者として教鞭をとりました。2012年5月13日には、カンザス大学から「合唱音楽とオペラへの顕著な貢献」により名誉博士号を授与されました。また、全米オペラ協会およびアメリカ合唱指揮者協会西部部門から生涯功労賞も受賞しています。本年(2025年)8月16日、ミーチェムさんは100歳になりました。これを書いている現在も存命中のようです。

 本日の曲は合唱曲「この世界は私たちに重すぎる」です
 詩の全訳を以下に記します。

 この世界は私たちに重すぎる
  この世は、あまりにも私たちに迫りすぎている。 
  いまも、そして来たる日々も──
  求め、費やし続けるうちに、
  私たちは本来の力をむなしく擦り減らしてしまった。

  自然のうち、心から自分のものと思えるものなど、いまやほとんどない。
  私たちは心そのものを捧げ渡してしまったのだ──
  それが、なんと卑しく悲しい“恵み”であることか。

  月に向けて白い胸をさらす海、
  昼夜を問わず吠えたてる風、
  そして今は眠れる花々のように静まりかえる風──
  こうしたすべてに対して、私たちは調和を失ったままなのだ。
  もはや、どれひとつとして私たちの魂を揺さぶらない。
  ──ああ、偉大なる神よ!
  私はいっそ、廃れた古き信仰に育まれた異教徒でありたい。

  そうであれば、この麗らかな草地に立つとき、
  孤独をなぐさめる何かの幻影を、かすかにでも見いだせるだろう。
  たとえば、海より姿を現すプロテウスの影を見たり、
  老いたトリトンが、巻き貝の角笛を吹き鳴らすのを聞いたりできるかもしれないのだ。

 重々しい響きが印象的な曲です。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ミーチェム、カーク:この世界は私たちに重すぎる

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