一日一曲(549)フランク、セザール:ヴァイオリンソナタ
本日は、生誕200年(1822年12月10日生)を迎えらえたフランスの作曲家、セザール・フランクさんの曲をご紹介します。
フランクさんはベルギー生まれでしたが、幼少期からフランスのパリで活躍することとなります。お父様がフランクさんにリストやタールベルクのような若き神童ピアニストに育て上げようとしました。当初はそれなりにうまくいっていたのですが、独善的なお父様との関係が悪化し、20代で関係が断絶することとなります。その後、フランクさんは音楽教師や教会のオルガニストとしてどちらかというと「地味」な人生を歩むこととなります。さっこy区化としての名声が高まったのは死の数年前、60歳を過ぎてからでした。ですが、フランクさんの遺した交響曲や器楽曲などは、重要な曲として現在でも頻繁に演奏されています。
本日の曲は、フランクさんの代表作であり、ヴァイオリンソナタ、いえいえ、全クラシック音楽の中でも最上位の至宝と言っても過言ではない曲です。演奏会、録音、ともに数えきれないほど。ヴァイオリンを弾く人なら、一度は弾いてみたい曲の一つです。友人の高名なヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイさんの結婚のお祝いとして書かれた曲で、イザイさんは自身の結婚式で初見で本曲を演奏したという逸話が残っています。
4楽章形式で、全体を通して現れる共通のモチーフが曲の統一感を強めています。淡い夢のような第1楽章、つづく第2楽章は激動の運命の嵐に翻弄された苦難の人生の歩み、第3楽章はキリストのゲッセマネの祈りを思わせるような雰囲気があり、そして終楽章はすべての苦悩から解放され、神々しい輝きの中で力強く勝利が宣言される。なんだかフランクさんの人生と重なっているように思えます。
特に終楽章のカノン形式(♪カエルのうたが~のような、追いかけっこの形式)は、奇跡ともいえる完成度。こんな曲を書きたい、とすべての作曲家は思うのでしょうが、それを達成する人はごくわずか。フランクさんは希少な幸運に恵まれた方ともいえます。苦労人の人生が、最晩年になって報われたということになります。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
フランク、セザール:ヴァイオリンソナタ