一日一曲(583)松平頼則:前奏曲ニ長調

 本日は、昨日ご紹介した作曲家、松平頼暁さんのお父様である、松平頼則さんの作品をご紹介します。

 松平頼則さんは1907年に当時の東京市で子爵松平頼孝の長男として生まれました。大叔父が内閣総理大臣になった西園寺公望さんという、相当な血筋の方です。が、16歳の時に家は破産してしまいました。その後、慶應義塾大学文学部仏文科に進みますが、途中1年間国立音楽学校でも学んでいます。ただ、音楽は正規の学校で学んではいません。大学は中退し、ピアニスト及び作曲家として活躍されることとなりました。

 当初は新古典的な作風で、民謡なども取り入れた曲を発表していましたが、次第に先鋭化し、12音音楽やセリー技法なども積極的に自作に生かすようになります。数多くの海外のコンクールなどに出品し、国内の前に海外での名声が高まりました。海外の現代音楽にも多大な影響を与えています。上野学園大学教授、日本現代音楽協会委員長を歴任されています。1972年紫綬褒章、1979年勲四等旭日小綬章等の勲章も受章されていらっしゃいます。1996年には文化功労者に選ばれました。2001年に94歳で亡くなりました。昨日の息子さんも91歳と、長寿の家系であったようです。

 本曲は1934年、作曲者27歳の時の作品です。このとき、息子さんである頼暁さんは3歳であったことになります。ちょっと風変わりな響きが特徴的です。短い曲です。どことなく、フランス印象派の響きも感じられます。本曲は友人のピアニストが「モーリス・ラヴェルのところへ持っていく」と言っていたとのことですが、その後どうなったのかは不明。ラヴェルさんは本曲を聴いているのか、聴いていたとしてどんな感想を述べたのか、興味深いところですが…。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
松平頼則:前奏曲ニ長調

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