一日一曲(616)アルトシュラー、モデスト:ラフマニノフの主題によるメロディー
本日は、生誕150年(1873年2月15日生)を迎えらえたベラルーシ出身・アメリカの指揮者兼作曲家兼チェリスト、モデスト・アルトシュラーさんの曲をご紹介します。
アルトシュラーさんの本名は、モイセーイ・イサアコヴィチ・アリトシューレル(ロシア語: Моисе́й Исаа́кович Альтшу́лер, Moisei Isaacovich Altschuler)というそうで、ユダヤ系だそうです。
1873年に当時はロシア帝国領であったベラルーシのマヒリョウに生まれ、ワルシャワ音楽院でチェロを学んだ後、モスクワ音楽院に転じて作曲を学びます。ラフマニノフさんとは同じ年で、同窓生であり、しばしば一緒に演奏していたそうです。卒業後はチェリストとして活動を始め、1890年代後半に渡米します。1903年にニューヨークにおいてロシア交響楽協会を創設し、十余年にわたって演奏旅行を行い、同時代のロシア音楽をアメリカに広める重要な役割を担いました。このロシア交響楽協会は、世界で最初に録音を残した演奏団体の一つでもあるとのことです。第一次世界大戦勃発前に自分のオーケストラを解散すると、カリフォルニア州に移り、音楽教師や演奏家として名声を築き上げます。映画界の重鎮になっていた兄ジョー・アラーの協力を得て、1920年代半ばからおよそ四半世紀にわたって映画音楽を作曲・演奏するようにもなりました。1963年に90歳で亡くなられています。
アルトシュラーさんの作品は残念なことに現在ではほとんど忘れ去られてしまっています。現在辛うじて知られているものは、本日ご紹介するチェロとピアノのための小品《ラフマニノフの主題によるロマンス》です。
本曲は、友人のラフマニノフさんにメロディを書いてもらい、それを自分で演奏するためにチェロとピアノのための小品としてアルトシュラーさんが仕上げた曲です。ラフマニノフらしい甘く切ないメロディが特徴的です。ピアノパートはさほど手が込んでいないようでして、ラフマニノフさんが全て作曲していたら、どういう形になっていたのか、興味深いところではあります。本曲は、これはこれでアンコールピースとして今後も長く親しまれていく名曲と言えるのではないでしょうか。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
アルトシュラー、モデスト:ラフマニノフの主題によるメロディー