一日一曲(634)ペヤチェヴィチ、ドーラ:ピアノソナタ変イ長調
本日は、没後100年(1923年3月5日没)を迎えらえたクロアチアの作曲家、ドーラ・ペヤチェヴィチさんの曲をご紹介します。
ペヤチェヴィチさんは1885年にブダペストでクロアチアの貴族ペヤチェヴィチ家に生まれました。声楽家であった母から音楽の手ほどきを受け、12歳から作曲を始めます。その後ドレスデン、ミュンヘン、ザグレブで音楽の学びを続けましたが、大半は独学だったそうです。
1913年にペヤチェヴィチさんは最初の管弦楽作品であるピアノ協奏曲を作曲しました。この協奏曲が、クロアチアの作曲家として初めての協奏曲となりました。ペヤチェヴィチさんの作品は多くはドイツで当時の主要なソリストによって初演されています。
1918年に作曲された交響曲ヘ短調はクロアチア音楽の最初の現代交響曲と見なされています。
1921年に結婚してミュンヘンに移りますが、その2年後に37歳の若さで夭逝されました。
生涯で58曲の作品を遺されています。その多くがピアノ作品となっています。
本日の曲「ピアノソナタ変イ長調」は、作品番号は57、最後から2番目に作曲された曲です。演奏時間は約11分で、切れ目なく演奏される単一楽章形式で構成されています。
明るく情熱的な第1主題と落ち着いた趣の第2主題(本日の演奏だと1分18 秒あたりで出てきます)とが絡み合いながら進行する本曲の山場は、第2主題が繰り返し奏でられる中で終曲に向かって盛り上がっていく部分(8分40秒あたりから)です。夢と希望にあふれた夜明けのような本曲を書いてから2年もたたないうちに亡くなられるとは、本人も夢にも思っていなかったのではないでしょうか。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ペヤチェヴィチ、ドーラ:ピアノソナタ変イ長調