一日一曲(648)レーガー:ヴァイオリンソナタ ハ長調

 本日は、生誕150年(1873年3月19日生)を迎えらえたドイツの作曲家、マックス・レーガーさんの曲をご紹介します。

 レーガーさんはドイツ南部のブランドで生まれ、早くから音楽教育を受けます。神童ぶりを発揮し、1886年、13歳の時にはヴァイデンにある教会のオルガン奏者となりました。その後ミュンヘンなどで作曲など音楽理論をを学びますが、徴兵のため音楽の学びは一時中断となります。1898年に除隊してからは、精力的に演奏・作曲活動を行い、当時のドイツ音楽界の中心人物の一人のなっていきました。約2メートルの身長と100キロを超える体重から「ドイツ最大の音楽家」と呼ばれていたそうです。1916年に心筋梗塞のため弱冠46歳の若さで亡くなられました。得意のオルガンを中心に幅広いジャンルで作品を遺されています。

 本日の曲、「ヴァイオリンソナタ ハ長調」は、1903年、30歳の時の作品です。作品番号は72。「ヴァイオリンソナタ第4番」と呼ばれるときもある作品です。
本曲の演奏は、当時かなり物議を醸したそうです。理解のない批評家を揶揄するような音型が開始早々第一主題として現れます。”A-F-F-E”という音列(本日の演奏では第1楽章の33秒あたり)なのですが、これは、ドイツ語では「猿」( Affe)を意味します。この音列は全曲を通して登場します。
 美しいメロディが続くという曲ではないので、ちょっと聴くには骨が折れる曲かもしれません。楽譜を見ながら、曲の構成を追いながら鑑賞すると、本曲に親しめるかもしれません。とても精密に作り上げられています。なかなかそれは難しくとも、時折断片のように現れる静謐な佇まいやゾクッとするような美しい響きに耳を傾けてみるのは、よいかもしれません。
 本曲では、ヴァイオリンに重音奏法がほとんど現れません。僅かに、本日の演奏では
1)第2楽章の0分19秒あたりの重音のピッチカート
2)第2楽章の2分46秒あたり
3)第4楽章の2分8秒あたりのオクターブ
4)第4楽章の7分37秒あたりのオクターブ
と、たったこれだけです。重音奏法がない分、技術的には比較的楽かもしれません。ただ、譜読みやピアノとの合わせは、結構ややこしそうです。対照的にピアノパートは結構難しそうです。ヒンデミットさんのソナタでも思ったのですが、ドイツの作曲家の器楽曲は、ピアノパートが難しい曲が多い、というのが、個人的な印象です。
 本曲に関しては、ロシアの作曲家プロコフィエフさんは、1916年に名ヴァイオリニストのウジェーヌ・イザイさんと作曲者が共演した演奏を聴き(1916年のペトログラードでのロシア初演)、本曲に魅了されたという逸話が残っています。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
レーガー:ヴァイオリンソナタ ハ長調

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です