一日一曲(665)ラフマニノフ、セルゲイ:12の歌 Op. 21第1曲「運命」
今年生誕150年(1873年4月1日生)のセルゲイ・ラフマニノフ特集その2です。
昨日ご紹介した交響曲第1番の不評ですっかり自信を無くして作曲ができなくなったラフマニノフさんを、周囲の友人は心配し、何とか立ち直らせようと手を尽くします。その一策として、1899年にラフマニノフさんは大作家レフ・トルストイさんと会見することになりました。ラフマニノフさんは友人の歌手シャリャーピンを伴ってトルストイさんの自宅を訪ねます。そこで、交響曲第1番の初演以降に作曲した数少ない作品のひとつである歌曲『運命』を披露しました。ベートーヴェンの交響曲第5番のテーマ、そう、あの有名な「ジャジャジャジャーン」ですね!それを引用し、中心テーマに据えた意欲作です。恐らく作曲者本人も周囲の友人も感動した大作家からの励ましの言葉を期待したのでしょう。が、運命は悲しく微笑みます。トルストイさんはベートーヴェンはお嫌いだったようで、励ましの言葉ではなく、帰ってきたのはつれない感想でした。ラフマニノフはさらに深く傷つくことになってしまいました。せめて音楽の趣味嗜好など事前情報を仕入れておくべきだったのかもしれません。
その曲は、『12の歌 Op. 21第1曲「運命」』としてまとめられて出版されています。そう悪い曲ではないと感じますが、感性は人それぞれですので。下のリンクより、一度聴いてみていただければ。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ラフマニノフ:12の歌 Op. 21第1曲「運命」