一日一曲(907)ブレトン、トマス:ピアノ三重奏曲 ホ長調

 本日は、没後100年(1923年12月2日没)を迎えらえたスペインの作曲家、トマス・ブレトンさんの曲をご紹介します。

 ブレトンさんは1850年にスペイン西部の街サラマンカで生まれ、地元の芸術学校で最初の音楽教育を受けた後、地方の小さな楽団や劇場、教会で演奏家として生計を立てた。16歳でマドリッドに移り、フランシスコ・バルビエリのオーケストラで演奏するかたわらマドリッド王立音楽院で研鑽を重ねます。その後、君主アルフォンソ12世とモルフィ伯爵の庇護を得て、ローマやミラノ、ウィーン、パリに留学してさらに音楽を学ぶことができました。留学からマドリッドに戻ったあとは王立音楽院作曲家の教授に任命され、後には院長まで昇進しました。1872年には音楽院から表彰されています。その後に音楽家同盟を設立して、長年その監督にあたられました。全生涯を通してスペインらしい表現を追求しましたが、その目論見は成功したとはいいがたい結果に終わりました。ただ、その生涯でサルスエラやオペラなどを多数作曲、交響曲・協奏曲・器楽曲もふんだんに遺されています。

 本日の曲は「ピアノ三重奏曲 ホ長調」。作曲者41歳の脂の乗り切った時期の作品です。重厚な響きからは、あまり「スペイン」は感じられないのですが…どちらかというと、ドイツとかそちらの雰囲気の方があっているように感じました。4楽章形式で演奏時間は30分超の大作です。明るく希望に満ちた曲です。個人的には、第3楽章の第2主題が印象に残りました。この第2主題は1分38秒あたりからピアノが奏でるコラール風の和音進行です。この部分では、ヴァイオリンとチェロはピチカートでピアノに寄り添います。3分18秒あたりで再度第2主題が出てきますが、その時はヴァイオリンとチェロがメロディを奏で、ピアノが分散和音で寄り添う形になっています。(なお、この主題は5分8秒のところで3回目が現れます)

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ブレトン、トマス:ピアノ三重奏曲 ホ長調

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