一日一曲(908)モソロフ、アレクサンドル:交響的エピソード「鉄工場」
本日は、没後50年(1973年7月12日没)を迎えらえたロシアの作曲家兼ピアニスト、アレクサンドル・モソロフさんの曲をご紹介します。
モソロフさんは1900年にキエフで生まれました。母親はボリショイ歌劇場の歌手をしており、モソロフさんの音楽的才能にはそのことが大きく影響していたようです。ロシア革命中には人民委員の事務所に勤めた経験もあり、その時には革命の大物であるレーニンさんとも親しかったようです。1922年にモスクワ音楽院に入学し、3年後に卒業、現代音楽協会(ACM)の室内楽部長などを歴任しました。しかし、ロシア・プロレタリア音楽家同盟より目の敵にされるようになり、作曲家同盟を追われてしまいます。1936年には「泥酔(の揚句の暴力沙汰)」という理由で音楽界の中央からも追放されてしまいました。「自分は忠実なソ連国民であるのに、自分に何の落ち度もないのに、ならず者になってしまった」と、スターリンに直訴したり、トルクメン語の「スターリン賛歌」を作曲したりと、いろいろとあがきいましたが効果は得られず、1937年には「反ソビエトのプロパガンダ」を理由に逮捕され、以後8年間にわたって強制労働に送り込まれてしまいました。友人たちの懸命の奔走の結果、解放されましたが、過酷な環境はモソロフさんの体をかなり痛めつけていました。その後も作曲活動は継続されましたが、作品の上演は当局によってたいてい拒否されていたとのことです。
本日の曲は。「鉄工場」。バレエ音楽「鉄鋼」(1927年の作品)から抜粋されて単独の管弦楽曲に編成された曲です。本曲はモソロフさんの出世曲となりました。短い曲ですが、工場の持つ雰囲気がよく出た曲だと感じます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
モソロフ、アレクサンドル:交響的エピソード「鉄工場」