一日一曲(914)キルヒナー、テオド-ル:セレナード
本日は、生誕200年(1823年12月10日生)を迎えらえたドイツの作曲家兼ピアニスト兼オルガニスト兼指揮者、テオド-ル・キルヒナーさんの曲をご紹介します。
キルヒナーさんはドイツのケムニッツ近郊のノイキルヒェでうまれました。8歳にして洗練されたオルガニストにしてピアニストと評価されていたとのことです。1843年には大作曲家フェリックス・メンデルスゾーンの推薦状を得てヴィンタートゥールのオルガニストに就任しています。その地でほぼ20年を過ごしましたが、たびたびドイツを訪れ、こちらも大作曲家のシューマン夫妻、ヨハネス・ブラームスさんといった人達と親交を結びました。なお、クララ・シューマンさんはキルヒナーさんのことが大変気に入り、1860年代にはいちど秘密裡に交際したという話が伝わっています。ただ、クララさんは「彼の性格には、およそ安定感というものがない」と書き残していらっしゃるとのことで、結局うまくはいかなかったようです。浪費癖や賭博癖といった自堕落な暮らしぶりのため、生活は困窮することが多かったようです。1884年には、ギャンブルで重ねた負債を清算できるように、ブラームスやハンスリック、ニルス・ゲーゼ、グリーグ、ハンス・フォン・ビューローさんらが3万マルクを掻き集めてくれて、ということもあったそうです。1894年に2度の脳卒中によって不随となり、最晩年には全盲となられたそうです。作曲家としては当時の音楽家たちから高い評価を得られていたようです。また、天性の小品作家として、演奏時間が1分しかないような小曲を1000曲以上も遺されています。
本日の曲は「セレナード」。ピアノ・ヴァイオリン・チェロのための室内楽曲の小品です。音楽の才能と浪費癖・賭博癖とは何の関係もないということが良く分かりますね。多くの人に愛される、優しく清らかな調べです。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
キルヒナー、テオド-ル:セレナード