一日一曲(949)ジチー、ゲザ:アデールのワルツ
本日は、没後100年(1924年1月14日没)を迎えらえたハンガリーの作曲家兼ピアニスト、ゲザ・ジチーさんの曲をご紹介します。
ジチーさんは184⑨年にオーストリア帝国のスターラ(現スロバキア領スタレー)に伯爵家の子息として生まれました。少年時代に大作曲家で伝説のピアニストでもあるフランツ・リストにピアノを学んで音楽の学習を始めるが、14歳の時に狩猟の際の猟銃の暴発事故で右手を失ってしまいました。それでもジチーさんはあきらめず、左手のためのピアノ曲を作曲して演奏することにより、ピアニストとして立つ決心を固め、リストからのレッスンを継続します。リストはその努力に対して自作を左手用に編曲してジチーさんに献呈しています。1875年から1892年までハンガリー王立音楽院(現リスト・フェレンツ音楽大学)の院長を務めるかたわら、1891年から1894年までブダペスト歌劇場の監督を務められました。(当時の同歌劇場の楽長は大作曲家兼指揮者のグスタフ・マーラーさんでした)。1890年よりピアニストとして国際的に活躍されていらっしゃいます。
「左手のピアニスト」と言いますと、最近では館野泉さんが有名ですが、ジチーさんはその先駆者と言えるでしょう。左手のためのピアノ協奏曲も作曲されていらっしゃるようで、このジャンルでは世界初とのことです。
本日はピアノの小品「アデールのワルツ」をどうぞ。何も知らないで聴いていますと、左手だけで演奏しているようには聴こえません。派手に跳躍する部分も多く、左手だけで演奏するのはかなり至難な曲です。ジチーさんの技術の水準の高さがうかがえる曲です。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ジチー、ゲザ:アデールのワルツ