一日一曲(1020)ショパン:練習曲集 作品10&作品25
本日は、今年(2024年)3月23日に亡くなられた世界的ピアニスト、マウリツィオ・ポリーニさんを追悼して、ポリーニさんの演奏をご紹介します。
ポリーニさんは1942年にイタリアのミラノで生まれました。父親は有名な建築家ジノ・ポリーニ、母親は彫刻家ファウスト・メロッティの妹で、声楽もこなすピアニストでした。、5歳からピアノを学び始めたポリーニさんはめきめきと頭角を現し、1957年に15歳でジュネーブ国際コンクール第2位(このとき女性部門で1位になったのがマルタ・アルゲリッチ)、1958年の同コンクールで1位なしの第2位、1959年の第一回ポッツォーリ国際ピアノコンクールで優勝とコンクールを荒らしまくります。圧巻は1960年の第6回ショパン国際ピアノコンクール!弱冠18歳で審査員全員一致での優勝となりました。この時の審査委員長のアルトゥール・ルービンシュタインが「今ここにいる審査員の中で、彼より巧く弾けるものが果たしているであろうか」といった言葉は有名な逸話として残っています。通常ならここから国際的に大活躍となるのですが、ポリーニさんは演奏活動から遠ざかりました。雲隠れ?していらした間には、ピアノやピアノ以外のことなど、いろいろなことを勉強したとのことです。約10年後に活動を再開したのですが、その時にはショパンコンクール優勝時よりもさらに一回りも二回りも素晴らしくなっていました。そこからの「世紀のピアニスト」としての活躍は皆様もご存じの通りではないでしょうか。古典から現代まで広範囲なレパートリーを誇り、出すレコードや企画した演奏会が都度話題をさらっていました。
私の大好きなピアニストの一人で、よく演奏を聴いていました。訃報に接してとても残念に感じています。安らかにお休みください。
数多の名演奏の中から、どれを取り上げようか迷いました。恐らく多くの方と同じ選択になってしまうと思いましたが、やはりこの演奏を抜きにしてはポリーニさんのことは語れないでしょう。復帰後まもなく出したこの録音は、半世紀以上たった現在でも本曲の最高の演奏として燦然と輝いています。まさに「完璧」という言葉は、この演奏のためにあると言えます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ショパン:練習曲集 作品10