一日一曲(1082)ハーバート、ヴィクター:チェロ協奏曲第2番ホ短調
本日は、没後100年(1924年5月26日没)を迎えらえたアイルランドの作曲家兼チェリスト、ヴィクター・ハーバートさんの曲をご紹介します。
ハーバートさんは1859年にイギリス海峡のチャンネル諸島のガーンジで生まれました。3歳のときに父親が他界、劇作家であった祖父のもとに移ります、そこで音楽的才能を見出され、その道に進むことを激励されます。しかし、母親がドイツ人医師と再婚したため、音楽教育はかなり後まで遅らされることになってしまいました。それでもシュトゥットガルト音楽院に進学、チェロを専攻し、傑出したチェロ奏者に成長しました。ウィーンでワルツ王ヨハン・シュトラウス2世の楽団員を経て、1886年に夫人連れで渡米し、メトロポリタン歌劇場管弦楽団の首席チェリストとなる。なお、夫人は歌手で、ヴェルディの《アイーダ》のアメリカ初演で主役を歌っています。1892年にニューヨーク州兵第22師団軍楽隊の指揮者に就任、その後1898年から1902年までピッツバーグ交響楽団の音楽監督として、同交響楽団をアメリカの主要なオーケストラへと育て上げました。1907年には自前のオーケストラを設立しています。米国作曲家作詞家出版者協会(ASCAP)の創設者でもあり、10年間この組織の副総裁を務められています。遠縁の音楽家にファーディ・グローフェがいらっしゃいます。1924年に65歳の若さで亡くなられてました。作曲家としては2つのオペラ、43のオペレッタ、10の劇付随音楽、31の管弦楽曲(交響詩のほか行進曲のような機会音楽も含む)、9つの吹奏楽曲、9つのチェロ曲(2つのチェロ協奏曲ふくむ)、5つのヴァイオリン曲(ピアノ伴奏および管弦楽伴奏)、22のピアノ曲、1つのカンタータ、54の歌曲、12の合唱曲と、数多くの作品を遺されています。
本日の曲はチェロ協奏曲第2番 ホ短調です。作品番号は30、1894年、作曲者35歳の時の作品です。本曲は近年になって再評価されてきているとのことで、今後演奏の機会も増えるのではないでしょうか。チェロ協奏曲というと、ドヴォルザークの「チェロ協奏曲ロ短調」が有名ですが、本曲はそれの先駆けとして、ドヴォルザークに霊感を与えたそうです(ちなみに、ドヴォルザークの協奏曲は1894年11月から翌年2月にかけて作曲されています)。本曲もダイナミックなチェロの技巧と劇的な表現がうまくマッチしています。演奏効果抜群な超絶技巧の使い方など、チェリストの作品らしく仕上がっています。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ハーバート、ヴィクター:チェロ協奏曲第2番ホ短調