一日一曲(1096)シェーンタール、ルート:イン・オマージュ・オブ…24の前奏曲
本日は、生誕100年(1924年6月27日生)を迎えらえたドイツ生まれのアメリカの作曲家、ルート・シェーンタールさんの曲をご紹介します。
シェーンタールさんはドイツのハンブルグで生まれました。5歳で作曲を始め、ベルリンのシュテルン音楽院に最年少で入学し、研鑽を重ねました。ところが、1935年にシェーンタールさんとその家族は、ユダヤ人の血を引くために、ナチス・ドイツを離れてストックホルムに行くことを余儀なくされてしまいました。ストックホルムに移住したシェーンタールさんは、スウェーデン王立音楽院で音楽の学びを続けることとなりました。ここで安定したかに見えた生活でしたが、卒業の3ヶ月前に、政治的緊張の高まりにより、家族は再び避難を余儀なくされました。モスクワ、ソビエト連邦、日本(にもいらしていたのですね!)、メキシコシティと、安住の地を探してさすらうこととなりました。最終的にアメリカに移り、1946年にイェール大学で作曲を学び、1948年に同大学を卒業されました。その間、1942年に18歳の若さで結婚、1944年に出産、1946年に離婚と、私生活の上でも激動の時代を過ごされました。1950年に画家と再婚し、最終的にはニューロシェルに移り住み、その後の人生のほとんどを同地で過ごされました。卒業後は広告のジングルやポピュラーソングを書くことで生計を立てていましたが、テレビやコマーシャルのための執筆、バーやクラブでのピアノ演奏、個人教授などと活動の幅を広げていき、次第に作曲の依頼を受けることも増えてきました。室内楽、オペラ、交響曲、オルガンとピアノのための作品など、幅広い分野で作品を遺されていらっしゃいます。長年ニューヨーク大学で作曲と音楽理論を教えていらっしゃいましたが、2006年に健康状態が悪化して辞職、同年7月に82歳で亡くなられました。
本日の曲は「イン・オマージュ・オブ…24の前奏曲」です。本曲は1978年、作曲者54歳の時の作品です。音楽コンクールのために書かれた作品とのことです。題名から、何かに対して敬意を讃えいらっしゃるようなのですが、その対象が何なのかは、調べがつきませんでした。24曲全体で演奏時間は約17分です。平均1曲約40秒という、大変短い曲の集まりです。短い曲のベスト3は、第17番(10秒)、第13番(11秒)第8番(16秒)、一番長い曲が第7番(1分45秒)となっています。短いながらもキリリと引き締まっている印象です。個人的には一番演奏時間の長い第7番が好みです。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
シェーンタール、ルート:イン・オマージュ・オブ…24の前奏曲