一日一曲(1098)シュテール、リヒャルト:オルガンソナタ ニ短調
本日は、生誕150年(1874年6月11日生)を迎えらえたオーストリアの作曲家、リヒャルト・シュテールさんの曲をご紹介します。
シュテールさんはオーストリアの首都ウィーンに生まれ、ウィーン音楽院で学びました。1900年からコレペティートル(歌劇場などでオペラ歌手やバレエダンサーにピアノを弾きがら音楽稽古をつけるコーチ)及び合唱の講師として働いた後、1903年から1938年まで母校で音楽(和声論、対位法、形式)を教えました。1915年には教授に昇進されています。弟子には、大指揮者となるヘルベルト・フォン・カラヤン、名ピアニストとなるルドルフ・ゼルキン、大作曲家となるサミュエル・バーバー、名歌手マレーネ・ディートリヒ、などなど、錚々たるメンバーがそろっていらっしゃいます。しかし、1938年にユダヤ系であることを理由にウィーン音楽院を解雇されてしまいます。1939年にアメリカに移住し、フィラデルフィアのカーティス音楽院で教鞭を執ることとなりました。そこでの弟子には、大指揮者のレナード・バーンスタインがいらっしゃいます。名教師であったことが分かりますね。その後、1941年から1950年までバーモント州のセント・マイケルズ・カレッジで教鞭をとり、1960年まで名誉教授を務められました。1967年にバーモント州モントピリアで93歳で亡くなられました。
本日の曲は「オルガンソナタ ニ短調」です。オルガンで「ソナタ」と題された曲は意外と少ないです。ピアノは「ピアノソナタ」が主要なピアノ独奏曲の題名となっていますが、それと好対照です。恐らくですが、オルガンは長い間教会音楽と共に歩んできましたので、伴奏部分を受け持つとか、礼拝における楽曲が大半を占めていたことが理由ではないかと思います。近代になり、幾分教会音楽から自由になってきて、いろいろな作曲家が「オルガンソナタ」と題した曲を創るようになりました。
本曲は演奏時間30分を超える大曲です。音の豊富さから、一人で奏でる交響曲と言ってもよいでしょう。3楽章形式で第1楽章が曲の約半分を占めています。オルガンの曲に特徴的な、分厚く重々しい音の塊に圧倒される思いです。第2楽章は抒情的な優しい曲。第3楽章は派手な立ち回りで最後はオルガン特有の大音響の中華やかに褶曲します。
多少マニア好みな内容かもしれませんが、本曲も永く演奏されて良い曲と思います。1914年、作曲者40歳の時の作品です。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
シュテール、リヒャルト:オルガンソナタ ニ短調