一日一曲(1143)クーセヴィツキー、セルゲイ:ユモレスク
本日は、生誕150年(1874年7月26日生)を迎えらえたロシア人の指揮者兼コントラバス奏者兼作曲家、セルゲイ・クーセヴィツキーさんの曲をご紹介します。
クーセヴィツキーさんはロシア帝国のトヴェリで退役軍楽士で職人の家庭に生まれました。モスクワ・フィルハーモニー協会音楽演劇学校(現ロシア舞台芸術大学)で音楽を学んだ後、コントラバス奏者として活動を始められました。1908年にベルリンで指揮者デビューを果たし、翌年には自前のオーケストラを創設。富裕なロシア人女性ナターリヤと結婚し、夫人の援助によって楽譜出版社を設立、スクリャービンやラフマニノフ、メトネル、ストラヴィンスキーなどの作曲家の版権を得るなど、ロシア革命まで精力的に活動されました。1920年にボリシェヴィキ政権を嫌ってパリに脱出、1924年にボストン交響楽団常任指揮者に任命され、アメリカに移住(1941年にアメリカ合衆国市民権を取得)。それから24年にわたって、ボストン交響楽団を、単にアメリカ合衆国の一流オーケストラとしてだけではなく、世界的水準を持ったオーケストラに育て上げました。同楽団はアメリカ五大オーケストラの一つに数えられるようになりました。サマー・コンサートやタングルウッド音楽祭における教育プログラムも自ら発案し、後進の指導にも熱心にあたられました。お弟子さんの中には世界的な指揮者となったバーンスタインもいらっしゃいます。同時代の作曲家たちの初演を数多く行ったほか、曲の委嘱にも精力的で、数々の名曲が誕生したきっかけを作られたことでも知られています。作曲家としては、『コントラバス協奏曲 嬰へ短調』のほか、コントラバスのソロとピアノのためのアンコール・ピースを4曲残されました。
本日はその中から、「ユモレスク」をご紹介します。コントラバスのいかつい外見にはいささか似合わない、かわいらしい曲です。技巧的には比較的平易で、アンコールピースとしてはちょうどよい曲でしょう。もっとも、コントラバスが主役の演奏会はさほど多くはないので、本曲が演奏される機会はかなり少ないのではないかと思います。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
クーセヴィツキー、セルゲイ:ユモレスク