一日一曲(1187)ブルックナー、アントン:ヘルゴラント
本日は、生誕200年(1824年9月4日生)を迎えらえたオーストリアの作曲家、アントン・ブルックナーさん特集の5回目、最終回です。
1884年からは『交響曲第8番ハ短調』の作曲に集中、1887年に一旦完成し、芸術上の父と尊敬していた指揮者ヘルマン・レーヴィに見せたのですが、彼からは否定的な返事が返ってきてしまいました。ブルックナーさんの弟子たちもこの作品を理解できませんでした。落胆したブルックナーさんは本曲を始めこれまでの作品の多数の改訂を始めました。これにより交響曲第1、2、3、4、8番が改訂されています。いろいろあった第8番でしたが、結局1892年の初演は成功でした。1891年11月7日にはウィーン大学から名誉博士号が授与されています。
晩年のブルックナーさんは病気がちになり、家の階段の昇降が困難になってきました。それを聞きつけた皇帝フランツ・ヨーゼフ1世(交響曲第8番の献呈も受けている)は住居を賜与しています。この住まいでブルックナーさんは作曲を続け、死去の日の午前中まで作曲を続け、1896年10月11日午後3時に72歳の生涯と閉じられました。最後に筆をとっていたのは、未完となった交響曲第9番の終楽章(第4楽章)でした。
本日の曲は、男声合唱と管弦楽のための声楽曲『ヘルゴラント』(ドイツ語: Helgoland)です。本曲は1893年にウィーン男声合唱協会の創立50周年を記念して作曲されました。完成された作品としては、ブルックナーさんの最後の作品となりました。歌詞の大意は、『ヘルゴラント島のサクソン人がローマ人の侵攻に脅かされているが、神の介入によって救われる』です。奇しくも1890年にヘルゴラント島が大英帝国からドイツ帝国に返還されたばかりであり、そのあたりも本曲と何らかの関係があるのかもしれません。本曲は不思議なことになかなか演奏されず、たいていのブルックナー愛好家やブルックナー指揮者ですら無視している、とのことです。
本日の演奏は本曲が大好き?な指揮者、バレンボイムさんの演奏でどうぞ。(バレンボイムさんは本曲をステレオ自サイトデジタル時代の2回録音されていらっしゃいます)
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ブルックナー、アントン:ヘルゴラント