一日一曲(1195)シェーンベルク、アルノルト:ピアノ組曲

 本日は、生誕150年(1874年9月13日生)を迎えらえたオーストリアの作曲家、アルノルト・シェーンベルクさん特集の4回目です。

 無調の音楽はだんだんと市民権が得られるようになってきました。シェーンベルクさんはその方針を推し進め、「十二音音楽」に辿り着きました。「十二音音楽」とは、「12の音を平等に扱い、作曲する手法」です。調性音楽では、その調整の基本となる「主音」があり、それと「相性の良い」音が中心となり、曲が作られます。12音のうち、主に使用するのは7音で、残りはその調整内では滅多に使われません。それに対して「十二音音楽」では、12の音を平等に扱います。12の音がこの全て現れるまではいずれの音も反復して用いてはいけない、という規則に縛られます。基本的に、12の音を1度筒使用した「音列」を基本として曲を創ります。そのようにしてできた曲は、調性のメロディに慣れた耳からはかなり奇異に聴こえます。ちょっととらえどころがなく、調和していないように、滅茶苦茶に弾いているようも聴こえます。
 なお、シェーンベルクさんは「十二音音楽」の創始者と言われることが多いですが、完全な独創ではないようです。ウィーンの同僚であったヨーゼフ・マティアス・ハウアーが、シェーンベルクさんより2年ほど前に「トローペ」と言われる12音の音列による作曲法を考案しているそうです。1919年にハウアーが作曲したピアノ曲『ノモス』が最初の十二音音楽と見なされています。シェーンベルクさんは「相互の関係のみに依存する十二の音による作曲法」の理論を完成させた、とされています。
 この「十二音音楽」は、以降の現代音楽界に決定的に重大な影響を与えました。「十二音音楽」を抜きにして現代音楽は語ることはできません。以降の作曲家は多かれ少なかれ「十二音音楽」に影響を受けています。ある人は熱烈に支持し、この理論をさらに拡張・深化させましたし、ある人は猛烈に反対し、古典やロマン派に近づいたりしました。完全な独創ではないものの、理論を完成させ、独自の道を切り開いたシェーンベルクさんの功績は疑うまでもないでしょう。

 1921年にシェーンベルクさんは「十二音音楽」による作品を創りました。それが『ピアノ組曲』(作品25)の「前奏曲」(1921年7月完成)でした。なお、前曲の完成はその2年後となりました。

 「十二音音楽」の一つの記念碑的な作品であり、かつ、「十二音音楽」の代表曲でもある本曲、本日は、今年逝去されたピアニスト、ポリーニさんの演奏でどうぞ。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
シェーンベルク、アルノルト:ピアノ組曲

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