一日一曲(1244)フォーレ、ガブリエル:ヴァイオリンソナタ第1番
本日から五日間にわたって、没後100年(1924年11月4日没)を迎えらえたフランスの作曲家、ガブリエル・フォーレさんの曲をご紹介します。
フォーレさんは1845年にフランス南部の街パミエで生まれました。先生の家に6人兄弟姉妹の末っ子として生まれ、音楽的才能を現したのはフォーレさんだけだったとのことです。父親の勤めていた学校に併設されていたチャペルにハーモニウム(足で空気を送って音を出すオルガン)があり、それを滅茶苦茶?に弾いて楽しんでいたとのことです。フォーレさん本人の回想で、幼いころの明瞭な記憶として残っている、との記録があります。周囲の人の勧めもあり、9歳でパリのニデルメイエール音楽学校に寄宿生活をしながら通うことになりました。ここで10歳年上のサン=サーンスからピアノの教授を受け、それがきっかけでこの作曲家と生涯にわたる親交を結ぶこととなりました。在学中から様々な賞を受賞しており、1865年7月に卒業する際にはオルガン、ピアノ、和声、作曲で「受賞者」(Laureat)となり、「楽長」(Maître de chapelle) の修了証書を授与されています。卒業後、サン=ソヴァールの教会でオルガニストに任用されました。このころから作曲もされていたようですが、残念ながらこの時期の作品は一つものこっていないとのことです。1870年には従軍を志願し、普仏戦争におけるパリ包囲戦での戦闘に加わったりもしています。フランスの敗北を受け、一時スイスに避難したりと、このころは激動の中を生き延びたようです。1871年10月にパリに戻り、サン=シュルピス教会で合唱指揮者に任命され、作曲も加えて活動されました。1874年にはマドレーヌ寺院のオルガニストにに転職しています。このころに作曲されたのがヴァイオリンソナタ第1番で、その曲は1877年に大成功をおさめ、若手有望作曲家として注目されるようになりました。
本日は、その出世作となった「ヴァイオリンソナタ第1番」をご紹介します。本曲は1875年8月、作曲者30歳の時に着手され、1876年の夏に完成しました。夏の休暇で訪れていた友人宅で一緒になったベルギーのヴァイオリニスト、ユベール・レオナール(1819年 – 1890年)からヴァイオリン演奏技術の手ほどきなどを受け、その成果が本曲に織り込まれています。1877年に初演の後、評判を呼び、当時の著名なヴァイオリニストがこぞって本曲をレパートリーに入れる人気曲になりました。現在でもフランスのヴァイオリンソナタのみならず、ヴァイオリンソナタというジャンルの中でも相当上位に入る名曲と評価されています。
本日は日本の若手ヴァイオリニストの演奏でどうぞ。フランス音楽家お得意の方のようです。しっとりと落ち着いた演奏で、美しい音を聴かせてくれています。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
フォーレ、ガブリエル:ヴァイオリンソナタ第1番