一日一曲(1247)フォーレ、ガブリエル:組曲「ドリー」

 本日は、没後100年(1924年11月4日没)を迎えらえたフランスの作曲家、ガブリエル・フォーレさん特集の4回目です。

 若い頃のフォーレさんは非常に陽気で、ある友人は「若い、いくらかは子供じみてすらいる愉快さ」と書いていたそうです。ですが、30代からは鬱の発作に苦しむようになりました。その始まりは1887年(32歳)の婚約の破断、そしてその頃の作曲家としての成功を得られないことにあったのではないか、と推測されています。1890年にはポール・ヴェルレーヌの詞によりオペラを書くという栄えある、そして割のいい委嘱の話が持ち上がったのですが、当の詩人が飲んだくれてリブレットが届かず頓挫してしまった、ということがあったそうです。この件でフォーレさんは相当な抑鬱状態へと一気に落ち込んでしまったそうで、回復まで周囲が相当苦労された素とのことです。
 40代も後半に差し掛かった1890年代に、フォーレさんは銀行家の娘エンマ・バルダック(後年のドビュッシー夫人)と不倫関係に陥りました。その中で、1892年に生まれたエンマ・バルダックさんの娘エレーヌさんへの誕生祝いに書かれたピアノ連弾曲を中心として、名作「組曲『ドリー』」が作曲されました。本日はこのピアノ連弾曲をご紹介します。

 タイトルの「ドリー」というのはエレーヌの愛称とのことです。フォーレさんはこの曲集をエレーヌに献呈しています。

 本組曲は6曲から構成されており、それぞれ以下のように題名が付けられています。

  第1曲 子守歌(Berceuse)
  第2曲 ミ・ア・ウ(mi-a-ou)
  第3曲 ドリーの庭(Le jardin de Dolly)
  第4曲 キティー・ヴァルス(Kitty-valse)
  第5曲 優しさ(Tendresse)
  第6曲 スペインの踊り(Le pas espagnol)

 1893年から1897年にかけて作曲されています。誕生日に送られた曲(第3曲が3歳の誕生日、第4曲が4歳の誕生日)や、題名がフォーレさんの意図した形で伝わらず、当初の意図と違った題名になっている曲(第2曲、第4曲)、出世作ヴァイオリンソナタ第1番からの引用がみられる曲(第3曲)、昔NHKのFMのクラシック音楽番組のオープニングに使われていた曲(第1曲)など、色々な話題にも事欠かない、様々な特徴を持った曲で構成されています。
 幼い子供に送られたこととも関連しているのでしょう、簡素で聴きやすい曲となっています。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
フォーレ、ガブリエル:組曲「ドリー」

フォーレ、ガブリエル:組曲「ドリー」(CD)

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