一日一曲(1248)フォーレ、ガブリエル:弦楽四重奏曲

 本日は、没後100年(1924年11月4日没)を迎えらえたフランスの作曲家、ガブリエル・フォーレさん特集の5回目、最終回です。

 1892年、フォーレさんはパリ音楽院の調査員として採用されました。1896年には教授となり、後進の指導に当たられました。育てた弟子は、ちょっと数えただけでも、モーリス・ラヴェル、フローラン・シュミット、シャルル・ケクラン、ルイ・オベール、ジャン・ロジェ=デュカス、ジョルジェ・エネスク、ポール・ラドミロー、アルフレード・カゼッラ、ナディア・ブーランジェ・・・錚々たるメンバーです。フォーレさんが仮にパリ音楽院の教授出なかったとしたら、フランス音楽の歴史はかなりかわっていたでしょう。1905年には「ラヴェル事件」をきっかけとしてパリ音楽院院長となりました。院長としてパリ音楽院の運営とカリキュラムに抜本的な改革を進められました。1909年にはフランス学士院の会員及び独立音楽協会会長となり、公的な活躍が多忙を極めるようになりました。
 1910年代からしだいに聴力に問題を抱えるようになりました。聞こえが悪くなるばかりでなく、音が歪むようになり、高音と低音が彼の耳には酷く外れた音に聞こえるようになり始めたのです。それでも1920年に音楽院院長を退くまで公務を続け、細々ながらも作曲活動も死の直前まで続けられました。1924年11月4日、肺炎によりパリで79年の生涯に幕を下ろされました。マドレーヌ寺院で国葬が営まれ、パリのパッシー墓地に葬られました。

 本日は最後の作曲となった「弦楽四重奏曲」をご紹介します。
 本曲は1923年8月から1924年9月にかけて作曲されました。弦楽四重奏曲としてはやや異例の3楽章形式で書かれています。
 全体的にやや穏やかに控えめに進行します。渋めの曲です。老境のフォーレさんの、日本で言ったら「侘び寂び」の境地が良く感じられます。淡々と進行していきますが、最終楽章の終わり近くでようやく盛り上がりを見せ、最後は明るく終結します。曲とご自身の人生に対する「さよなら」は元気に、ということだったのでしょうか。
 フォーレさんの代表作の一つであり、本ジャンル中でも名曲に位置付けられている弦楽四重奏曲、ご堪能ください。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
フォーレ、ガブリエル:弦楽四重奏曲

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