一日一曲(1265)マルタン、フランク:交響練習曲「四大元素」
本日は、没後50年(1974年11月21日没)を迎えらえたフランスの作曲家、フランク・マルタンさん特集の4回目です。
マルタンさんは1950年から1957年までケルン市立高等音楽学校で作曲の教授職を務められました。これが最後の音楽教育活動となり、その後は作曲を中心に合間をぬって室内楽の演奏旅行や指揮などで活動されました。自作の録音も残されています。1974年、絶筆となったカンタータ「かくて生は勝利す Et la Vie l’Emporta 」をの完成後にナールデンで世を去られました。84歳でした。
本日は晩年の作品から、交響練習曲「四大元素」をご紹介します。1964年、作曲者74歳の時の作品です。指揮者エルネスト・アンセルメの生誕80周年を記念して作曲され、お祝いの年の翌年の1964年10月5日、ローザンヌでアンセルメの指揮により初演が行われました。曲は演奏時間は約20分、4楽章形式で、それぞれ以下のようにタイトルがつけられています。
1.La terre (地)
2.L’eau(水)
3.L’air(風)
4.Le feu(火)
作曲者によると、「地」については北極近くで見た岩の露出やアイスランドの中央にある果てしない平原、「水」では、アイスランドを美しい青で流れる穏やかな川や巨大な滝、広大な湖を、「風」では稀に木々の間を吹き抜ける風の息吹、「火」では揺らめく炎が上がる燃える火鉢をイメージして作り上げたとのことです。作曲家のイメージ通りに聴き手側が受け取るとは限りませんが、そういった作曲者の思いやイメージを分かって聴くと、より本曲に親近感が持てるのではないかと思います。個人的には、第4曲の途中、4分33秒あたりから第1楽章のテーマが再現され、さらに終結部でも同様に再現されるのですが、そのあたりが心に残りました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
マルタン、フランク:交響練習曲「四大元素」