一日一曲(1267)プッチーニ、ジャコモ:ピアノのための小品
本日は、没後100年(1924年11月29日没)を迎えらえたイタリアの作曲家、ジャコモ・プッチーニさんの曲をご紹介します。
プッチーニさんは1858年にイタリアのトスカーナ地方にあるルッカで18世紀から連綿と続くルッカの宗教音楽家の家系に「五代目」として生まれました。ご先祖様たちの曲も遺されており、NMLにもいくつか録音がありますが、世界的音楽家まで出世したのはジャコモが唯一の存在となりました。わずか5歳のときに父親ミケーレが没したため、叔父フォルトゥナート・マージより音楽の教育を受けました。最初は教会オルガニストとなりましたが、ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ『アイーダ』の上演に接して、オペラ作曲家を志すようになりました。パチーニ音楽学校で研鑽を重ね、1880年に卒業制作として完成された『4声のミサ曲』(『グローリア・ミサ』の名で知られる)は、初期の音楽修業と、家業である宗教音楽家の道に区切りをつけた作品として知られています。この作品では、やがてミラノの舞台においてプッチーニが開花させることとなる劇的な表現力が、存分に示されており、実際、この作品の楽想は後に自身のオペラ作品(《マノン・レスコー》及び《エドガール》)の中で転用されています。なお、本曲は自身の意思で生前は出版されなかったために、1951年まで再演されませんでした(出版は1974年)。その後、1880年から1883年までミラノ音楽院でも研鑽を重ねています。
オペラ作曲家として有名なプッチーニさんのお得意のジャンルの曲は、本特集後半にとっておきまして、本日は珍しい器楽曲をご紹介します。1916年、作曲者58歳の時に作曲されたピアノ独奏曲「ピアノのための小品」です。本曲はプッチーニさんの最後のピアノ曲となりました。プッチーニさんとしては珍しく瞑想的で憂鬱な雰囲気の曲です。本曲は1916年に第一次世界大戦の犠牲者の遺族のために発行されたパンフレットに掲載された、ということなので、そういった背景も関係しているのかもしれません。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
プッチーニ、ジャコモ:ピアノのための小品