一日一曲(1293)ジョリヴェ、アンドレ:ピアノ協奏曲

 本日は、没後50年(1974年12月20日没)を迎えらえたフランスの作曲家、アンドレ・ジョリヴェさん特集の4回目です。

 本日はジョリヴェさんの代表作である「ピアノ協奏曲」をどうぞ。

 本曲はフランス国立放送からの委嘱により作曲されました。「フランス植民地のインスピレーションに基づいて」という依頼だったそうです。依頼を受けたジョリヴェさんは、温めていた東洋や熱帯の土地に関する音楽を利用することを思いつき、1949年から作曲に着手、翌1950年に完成となりました。ストラスブールに続くパリでの初演は、ストラヴィンスキーの「春の祭典」以来となるセンセーションを巻き起こした。演奏を止めさせようと妨害行為に出た多くの聴衆を、指揮者のガストン・プーレがなんとかなだめて最後まで曲を演奏した、という逸話が残っています。スキャンダルを巻き起こした本曲でしたが、「パリ市大賞」を受賞するなど、高い評価が得られています。
 曲は3楽章形式で、第1楽章には中央アフリカの影響、第2楽章には極東の影響、第3楽章にはポリネシアの影響が見られます。ジョリヴェさんにとって、協奏曲という楽曲形式は協調であると同時に、解決に至るまでの闘争や対立をも意味しているとのことです。ジョリヴェさんは自らの音楽表現において「協奏曲」を重要視し、1947年の「オンド・マルトノ協奏曲」の作曲以来、1974年にこの世を去るまでに12曲の協奏曲を遺していらっしゃいます。ピアノ協奏曲は4曲目の協奏曲にあたります。熱帯的な感覚、多種多様な打楽器の使用などからかつては「赤道コンチェルト」とも呼ばれていました(今日ではそのように言われることは少なくなっているようです)。
 派手な動きの第1及び第3楽章におだやかな第2楽章が挟まれています。今日の耳で聴くと、さほどスキャンダルを巻き起こすような曲には聴こえませんが、特に第3楽章など、熱狂の渦に巻き込まれて同化していくような、眩暈にも似た感覚に襲われることもあるかもしれません。
 
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ジョリヴェ、アンドレ:ピアノ協奏曲

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