一日一曲(1305)バスネル、ヴェニャミン・エフィモヴィチ:弦楽四重奏曲第5番
本日は、生誕100年(1925年1月1日生)を迎えらえたロシアの作曲家、ヴェニャミン・エフィモヴィチ・バスネルさんの曲をご紹介します。
バスネルさんはモスクワから遠くないヤロスラヴリの小さな古い都市で、第一次世界大戦の勃発時にドビンスクから避難したユダヤ人の家族の中に生まれました。6歳からヴァイオリンを始め、1949年にヴァイオリンを主楽器としてレニングラード音楽院を卒業しました。作曲の方は15歳ころから始められていたそうです。1955年には、ワルシャワの国際作曲家コンクールで弦楽四重奏曲第2番で入賞、これが本格的な創作活動の始まりとなりました。学生時代にドミトリー・ショスタコーヴィチと出会い、彼のアドバイスの下でプロの作曲家としての地位がさらに深まりました。ショスタコーヴィチとは個人的な友人関係も構築されました。バスネルさんはソビエト連邦からロシアの人民芸術家として認められ、国家賞を受賞しています。1971年に発見された「4267バスネル」と呼ばれる小惑星は、バスネルさんにちなんで名付けられました。その他、サンクトペテルブルク作曲家連合のメンバーとしても活躍されました。ミュージカル劇場のための13の作品、交響組曲、3つの交響曲、声楽交響曲集、2つの協奏曲、5つの四重奏曲など、幅広いジャンルで数多くの曲を遺されています。映画音楽も100作品を上回る数を遺されました。
本日の曲は弦楽四重奏曲第5番です。1975年、作曲者50歳の時の作品です。4楽章の構成ですが、前曲続けて演奏されます。演奏時間は約15分と、比較的規模の小さな作品です。本曲は同年8月に亡くなられた盟友ショスタコーヴィチの追悼に捧げられています。第3楽章ではバスネルさんの最も有名な映画音楽(映画「ザ・シールド・アンド・ザ・シールド」)から採られているとのことです。
曲の生い立ちの影響でしょう、全体的に暗いトーンで流れていきます。親友を亡くした悲しみや苦しみが表現されているのでしょう。あんまり楽しい思い出はなかった?あるいは表現したくなかった?どちらなのでしょうね?
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
バスネル、ヴェニャミン・エフィモヴィチ:弦楽四重奏曲第5番