一日一曲(1366)パレデス、カルロス:青い年
本日は、生誕100年(1925年2月16日生)を迎えらえたポルトガルのギタリスト兼作曲家、カルロス・パレデスさんの曲をご紹介します。
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パレデスさんはポルトガル中部の街コインブラで生まれました。ポルトガル・ギター奏者として高い評価を得ていた父親からポルトガル・ギターを学び、9歳の時にはコンサートで父親の伴奏を務めるほどになりました。音楽、ポルトガル・ギターを非常に愛していたパレデスさんでしたが、音楽を職業とする道を選ばず、生涯公務員や病院のX線技師として日々の糧を得られました。「音楽を愛しすぎて音楽で生きることはできない」とパレデスさんは述べられていらしたそうです。ポルトガルの独裁的なエスタド・ノヴォ政権に抵抗し、ポルトガル共産党に入党して活動されましたが、1958年9月26日の朝、職場のサン・ホセ病院で、政府に反対する非合法政党に所属していたという容疑でPIDEの捜査官に逮捕され、18ヶ月間投獄されました。刑務所にいる間、パレデスさんは頭の中で作曲していた、と伝わっています。刑務所の人々はパレデスさんが気が狂い、ギターを弾くふりをして独房を歩き回っていると思っていたそうです。ポルトガルのカーネーション革命後、エスタド・ノヴォ政権時代に政治犯であった他の人々と同様に、パレデスさんは英雄と見なされましたが、パデレスさんはそのように祭り上げられることを嫌い、刑務所でのことを話すことを好まれなかったそうです。「私よりも苦しんでいる人々がいる」と語られていたいそうです。作曲に関しては、ポルトガル・ギターの独奏曲はもちろんのこと、映画音楽なども創られました。1993年12月に脊髄症と診断され、この病気により、ギターを弾くことが困難になったことから、演奏活動を引退されました。2004年7月23日、リスボンで79歳で亡くなられました。パレデスさんは、ポルトガル史上最も偉大なギタリストの一人であり、ポルトガル・ギターの天才と高く評価されています。
本日の曲はポルトガル・ギターの独奏曲「青い年」です。ポルトガル・ギターはいわゆる普通のギターとはあまり関係性はありません。弦の数は12、ポルトガルの民族楽器です。
演奏時間2分にも満たない小品です。物憂げにつまびかれた弦の響きが切なく心を打ちます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
パレデス、カルロス:青い年