一日一曲(1371)ラヴェル、モーリス:高雅で感傷的なワルツ
本日は、生誕150年(1875年3月7日生)を迎えらえたフランスの作曲家、モーリス・ラヴェルさん特集の5回目、最終回です。
ラヴェルさんは個人的に大好きな作曲家でして、5日間の特集だけでは全然十分ではなく、もっともっとご紹介したい作品もたくさんあるのですが、一旦本日で区切りといたしましょう。
最後は、ピアノ曲「高雅で感傷的なワルツ」をどうぞ。1911年、ラヴェルさん36歳の時に作曲されました。翌1912年にはご自身の手で管弦楽版への編曲も行われています。本曲は1911年5月9日にパリで行われた独立音楽協会(SMI)の演奏会において初演されました。この演奏会では作曲者の名は伏せられ、演奏後に誰の書いた曲かを当てると言うユニークな企画が催されたのですが、本曲はサティやコダーイの作品と勘違いした人もいらっしゃったとのことです。間違えられた?サティは(これが原因ではないでしょうが)後年本曲をパロッたピアノ曲「いやな気取り屋の3つのワルツ」を作曲しています。なお、初演時の反応はあまり芳しいものではありませんでした。現在では本曲はラヴェルの作品全体の中でも重要な位置を占める名曲と評価されていますが、当時としては和声などが当時の音楽に慣れた人々にとっては斬新過ぎたのかもしんれません。
ラヴェルさん自身はこのワルツ集を、「シューベルトのワルツをモチーフとして作曲したもの」と述べているそうです。ラヴェルより直接指導を受けたピアニスト、ペルルミュテールさんによると、本曲の練習中にラヴェルさんが楽譜の第5ワルツのところに「シューベルトのワルツの気持ちで」と書き込みを入れたそうです。
曲は8つの曲(部分)から構成されています。すべて続けて演奏されます。最後の第8曲は、それまでの7曲のワルツが現れては消えていく形で引用されています。最後の総まとめのような曲となっています。
本日は、ラヴェルの最後の直弟子であった、ペルルミュテールさんの演奏でどうぞ。ペルルミュテールさんは本曲が一番お好きらしく、著書「ラヴェルのピアノ曲」では、本曲の解説に一番スペースを割いていらっしゃいます。ラヴェルさんとのレッスンの思い出も書いてくださっていますので、少しだけ引用いたしましょう。
「何年たとうが、書斎で、ピアノのかたわらに立ち、手に楽譜を持って、わたしにこれらのワルツを教えていたラヴェルの姿を思いおこすと、いつも感動を覚えないではいられません。彼のまなざしにあのときのような、鋭さを見たことはありませんでした。…」
ラヴェルさんも本曲がお気に入りだったのでしょう。本日は直弟子による渾身の演奏でどうぞ。ペルルミュテールさんのこの曲を含むラヴェルピアノ曲前週は、すこしお年を感じる演奏も多々あるのですが、本曲は気合の入り方が違います。尊敬する師の名曲を正確に後世に伝える使命感がひしひしと伝わってくる名演奏です!
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ラヴェル、モーリス:高雅で感傷的なワルツ