一日一曲(1376)グバイドゥーリナ、ソフィア:オッフェルトリウム
本日は三日前に亡くなられた(2025年3月13日没)ソ連邦のタタール自治共和国(現在のロシア連邦タタールスタン共和国)出身の作曲家、ソフィア・グバイドゥーリナさんを追悼して、曲をご紹介いたします。
グバイドゥーリナさんは1931年にタタール自治共和国の街チーストポリで生まれました。翌年に家族はカザンに引っ越し、グバイドゥーリナさんはそこで成長しました。1946年から1949年までカザン音楽ギムナジウムでピアノと作曲を学び、1949年から1954年までカザン音楽院で作曲の研鑽を重ねました。1954年に同校を卒業してモスクワ音楽院に進み、研究生として1963年まで在籍しました。1970年代半ばに、作曲家仲間と民族楽器を用いた即興演奏グループ「アストレヤ」を結成し、活動されました。1980年代初頭に世界的なヴァイオリニストであるギドン・クレーメルの擁護を得て、ヴァイオリン協奏曲「オッフェルトリウム」がソ連邦の国外で演奏され、これが国際的な名声のきっかけとなりました。ペレストロイカが始まり、以前にもまして名声が高まると、ソ連を出て西ドイツに移住し活動を続けられました。そこで長らく活動されていらっしゃいましたが、今回訃報を発信したのがカザン市役所とのことで、生まれ故郷に戻られていたのかもしれません。
本日は、出世作となったヴァイオリン協奏曲「オッフェルトリウム」をどうぞ。バッハの作品の断片が引用され、それが曲の中に溶け合わさって独特の世界を構築されています。どことなく宗教的というか、祈りにも似た想いを感じる箇所が多々ある音楽です。本日はグバイドゥーリナさんの名声確立に大きく寄与したヴァイオリニスト、ギドン・クレーメルさんの演奏でどうぞ。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
グバイドゥーリナ、ソフィア:オッフェルトリウム