一日一曲(1377)藤井一興:宮島の鳥居に波は震える
本日は今年1月に亡くなられた(2025年1月18日没)日本のピアニスト兼作曲家、藤井一興さんを追悼して、曲をご紹介いたします。
藤井一興さんは、1955年1月に東京で生まれました。東京芸術大学でピアノと作曲を学び、3年次に在学中の時にフランス政府給費留学生として渡仏し、パリ国立高等音楽院留学します。作曲科、ピアノ伴奏科ともに一等賞で卒業、さらにパリ・エコール・ノルマルにてピアノ科を高等演奏家資格第一位で卒業しました。世界各地、日本国内にてリサイタル、室内楽、コンチェルトの他、フランス国営放送局を始めとするヨーロッパ各地の放送局や日本のNHK等で多くの録音、録画など幅広い活動を行いました。作曲家としてもフランス文化省から委嘱を受け、その作品が演奏会や国際フェスティバルで演奏・録音されていらっしゃいます。世界初のフォーレのピアノ全集の校訂も担当されました。東邦音楽大学大学院大学特任教授、東邦音楽総合芸術研究所特任教授、東京芸術大学、桐朋学園大学各講師など、後進の指導にも熱心にあたられました。2025年1月18日、糖尿病性腎症のため自宅で亡くなられました。10日前の1月8日には、豊洲シビックセンターホールでの演奏会に出演されていらっしゃいます。記事には体調のすぐれない中の出演であった、と記録されています。
本日の曲はチェロとピアノののための作品、「宮島の鳥居に波は震える」です。チェロとピアノが打ち寄せる波を表現しているのでしょう。時に激しく、時におだやかに、いろいろな波の表情を見せてくれています。宮島を訪れた時の印象を曲にしたのでしょうか。フランスの大作曲家メシアンに師事したとのことですが、その影響も感じられます。
ただ、こんな鑑賞も、題名を言ってくれないと良く分かりませんね。違う題名だったら違う感想になっているかもしれません。個人的に、藤井一興さんはピアニストとしての印象の方が強かったです。メシアンの前奏曲集のCDは愛聴していました。今回初めて作曲家ということや、実際に書かれた曲に触れる機会を持つことができました。まだまだ活躍してもらいたかった方ですので、今回の訃報はとても残念です。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
藤井一興:宮島の鳥居に波は震える