一日一曲(1489)サティ、エリック:家具の音楽

 本日は、没後100年(1925年7月1日没)を迎えらえたフランスの作曲家、エリック・サティさん特集の⑤回目、最終回です。

 晩年になるとサティさんは「家具の音楽」ということをさかんに言い出すようにりました。サティさん曰く、「あらかじめ周囲の騒音を考慮に入れて作曲し、この音楽を聞く人の感情を妨げることなく、決して意識されることはない音楽。それでいて人に快適さを与える音楽」とのことでした。その考え方は、今日におけるBGMの思想につながるものであり、「BGMの生みの親」とも得要るのではないでしょうか。

 本日はその「家具の音楽」をどうぞ。1920年、サティさん54歳の時の作品です。家具のように、そこにあっても日常生活を妨げない音楽、意識的に聴かれることのない音楽、といったものを目指して書かれました。本曲は後輩の作曲家ミヨーらの協力を得てとあるコンサートで実験的に演奏することになりました。当日のプログラムには、幕間に『家具の音楽』が演奏されること、『家具の音楽』を聴こうとせず、音楽に注意を払うな、との解説が載せられていました。ですが、これはかえって実験を失敗させる原因になってしまいました。休憩に入り、劇場のさまざまな場所にスタンバイしていた演奏者により演奏が始まると、一度席から立ち上がっていた聴衆たちは、自分の席に戻って静かに聴き入ろうとした。繰り返しが13回目に入ったところでサティさんは我慢の限界に達し、聴衆に向かって、音楽を聞かずにおしゃべりを続けるよう怒鳴り散らし猛烈な勢いでロビーを駆け回ったが全く効果はありませんでした。
 聴いてみていかがでしょうか。私はこれを書きながら「家具の音楽」を聴いていますが、BGMにちょうど良い感じです。1曲目はちょっとうるさく感じるときもありますが、2曲目と3曲目は、書くことに集中しているうちに、いつの間にか終わってしまった、という印象でした。

ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
サティ、エリック:家具の音楽

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