一日一曲(1490)ボルグストレム、ヤルマル:ヴァイオリンソナタ ト長調
本日は、没後100年(1925年7月5日没)を迎えらえたノルウェーの作曲家、ヤルマル・ボルグストレムさんの曲をご紹介します。
ボルグストレムさんは1864年3月にノルウェーのクリスチャニア(現在のオスロ)で生まれました。公務員の家庭でしたが、家族は熱心なアマチュア音楽愛好家で、ボルグストレムさんは幼少の頃から音楽と共に育ちました。早くから音楽の才能を発揮し、15歳では既に才能あるヴァイオリニストの一人と見做されていました。オスロで作曲と音楽理論を学んだ後、ドイツのライプツィヒ音楽院に2年間留学しました。1889年にノルウェーに戻り、いくつかの新聞で音楽評論家として働くかたわら作曲活動を行い、カンタータ「Hvæm er du med de tusene navne(千の名前を持つあなたは誰ですか)」では華々しく成功を収めました。1890年にノルウェーを離れ、その後13年間ライプツィヒとベルリンで過ごされました。1903年にノルウェーに戻り、この年、ピアノとオーケストラのための交響詩「ハムレット」がオスロで初演され、大絶賛されました。初演のソリストであったピアニストのアマリー・ミュラーと翌年に結婚されていらっしゃいます。1903年から1913年に妻のアマリーが亡くなるまでの期間は、ボルグストレムさん作曲活動が最も充実した期間でした。1925年7月5日にオスロで61歳で亡くなられました。第二次世界大戦まではボルグストレムさんの作品は定期的に演奏されていましたが、その後あまり演奏される機会が亡くなって今日に至っています。
本日の曲は「ヴァイオリンソナタ ト長調」です。1906年、作曲者42歳の時の脂の乗り切った時期の作品です。ピアノパートは奥様が受け持たれていたのでしょうか。初演は恐らく夫婦でされたのではないかと思います。演奏時間は30分を超す大作です。技巧よりもメロディを大事に作曲されている印象です。ヴァイオリンを「歌わせる」技術は、才能あるヴァイオリニストとして出発した幼少期に自然と身についたものなのかもしれません。派手な技巧で驚かせるのではなく、ヴァイオリンの音の美しさを聴かせる本曲、もっと広く演奏されてもよいと感じました。
ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ボルグストレム、ヤルマル:ヴァイオリンソナタ ト長調