一日一曲(1554)バーべリアン、キャシー:ストリプソディ

 本日は、生誕100年(1925年9月6日生)を迎えらえたアメリカの声楽家兼作曲家、キャシー・バーべリアンさんの曲をご紹介します。昨日ご紹介したベリオさんの最初の妻としても有名です。

 バーべリアンさんはマサチューセッツ州アトルボロで生まれました。コロンビア大学とニューヨーク大学に在籍中に文学・演劇(一般的にはパントマイムと言われている)、比較文化学を学んだ後、イタリアに留学、ミラノで声楽を学びました。多彩な発声と驚異的な語学力を駆使し、斬新な表現力と趣向を凝らした様々な技巧によって、欧米の前衛音楽の作曲家を触発しました。多くの作曲家がバーべリアンさんのために曲を書いています。1950年に昨日ご紹介した作曲家、同じく1925年生まれのルチアーノ・ベリオさんと結婚、ベリオさんも多くの作品をバーべリアンさんのために遺しました。が、お二人は1964年に離婚されました。
 伝統的な分類法に従えば、メゾソプラノ歌手ということになるが、単にボーカリストやヴォイス・パフォーマーと呼ぶのが、およそ実状に合っていらっしゃます。伝統的な発声法のカテゴリーにとらわれず、スキャットやハミングの即興的な挿入、呻き声や笑い声・呟きなどのノイズ成分の利用、ベル・カント唱法からシャウトに至る変幻自在な声質の変化によって、声楽家の表現力(演技力)の可能性に前代未聞の領域を拓きました。前衛音楽だけでなく、ヨーロッパ各国の民謡のほか、モンテヴェルディからガーシュウィンやヴァイルまでのオペラ・アリアと、幅広いレパートリーを誇っています。

 本日の曲は声楽曲「ストリプソディ」です。1966年、41歳の時の作品です。ここでいう「ストリップ strip」とは「漫画のコマ」(コミック・ストリップ)の意味です。題名は、本作がさまざまな漫画のコマのような切り抜きからなるグラフィック・スコアであるということにちなんでいる。この作品はライヴにおいてしばしばアンコールで「上演」された、とのことです。
 本日は自作自演盤でどうぞ。バーべリアンさんの多彩な表現をご堪能ください。
 
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
バーべリアン、キャシー:ストリプソディ

バーべリアン、キャシー:ストリプソディ(MP3ダウンロード)

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です